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【完結&1109万PV突破!】エージェントは異世界で躍動する!  作者: 琥珀 大和
エージェント、またどこかに飛ばされる!?
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第3章 絆 「悪魔バフォメット⑧」

視界が広げた先に、ソイツがいた。


邪悪な紫の影とでも言うべきか。


不規則に蠢き、苦しみ悶えるような動作のように見える。


俺はHGー01を空間収納に戻し、全身に竜孔流(シアル)を巡らせた。


両手に強くシアルの膜を張るように纏わせて、目の前の影に歩み寄る。


おもむろに影を両側から挟むように、両手で鷲掴んだ。


「ぐぅ···ぐうぉぉぉぉぉーっ!」


重苦しい叫びのようなものが響いてくるが、それは音ではなく、両手から骨を伝わるように届いてくる。


「悪魔バフォメットだな?」


「ぐ···ぐうぅぅ···。」


さらに濃密なシアルを放つ。


「や···やめ···。」


シアルはグルルの霊力そのものだ。精霊レーシーや、他の悪魔と同じようにかなり有効のようだ。


「何してくれてるねん。」


俺は冷めた目で見下ろしながら、徐々に力を込めるようにシアルを強めていく。


危なく、貞操の危機に陥るところだった。


奴が最後まで完璧な女性を演じていたのなら、俺は堕ちていたかもしれなかった。


しかし、股間のモノはないだろう。


元の世界でも、似たような状況が何度かあったが、俺はそんなふうに迫り来る野郎に対しては、一片の情けもかけないことにしている。


なぜかって?


それは当たり前だろう。


俺にそんな趣味はない。


むしろ、瞬殺すべき対象と言うべきだった。


しかし、悪魔バフォメットに対しては、尋問くらいはしておかなければならない。


もちろん、隙を作らないように、ギリギリの負荷をかけておく必要があった。


「き···貴様···な···なぜ堕ち···ない···。」


アホかコイツは。


「堕ちる?なぜ堕とされる必要がある。」


「グ···グルルの気配を···感じたのだ···貴様を···堕とし···取り込めば···目的···がああぁぁぁぁーっ!」


おぞましい話だ。


俺を取り込むために、邪淫の術みたいなもので堕とそうとしたというのか。


「純潔の男を拐わせたのも、それが目的か?」


「ち···力のない···者を···さら···拐っても···そんな風には···使え···ない···。」


「じゃあ、何のためだ?」


「しゅ···趣味だ···。」 


···怖ぇぇ。


純潔の人間を拐わせて、淫らな行いをして情欲を満たすというのか。


クリス···どうやら、おまえに大きな貸しができたようだ。


「それはまあいい。目的というのは何だ?」


「だ···だから···我の猛々し···い欲望···をギャァァァぁ!」


「そっちじゃない。俺を取り込もうとした目的の方だ。」


「じ···実体化···すれば···かつ···ての力···を···ある程度···取り···戻せる···そう···そうすれば···我が···新たな···悪魔王にぃぃぃぃーっ!!!」


「安らかに眠っとけ。」


俺は加減なしでシアルを解き放った。


はた迷惑な悪魔には、永眠を貪ってもらおう。


「ひぎぃあああぁぁぁぁぁぁ···。」


悪魔バフォメットが断末魔の叫びをあげ、そのまま影自体も消えていった。


恐ろしい相手だった···。






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