第3章 絆 「悪魔バフォメット⑦」
視界が反転した。
いや、意識が飛んだのかもしれない。
これまでに味わったことのない感覚。
不快とも、快感とも言える不思議な状態に身を包まれた。
このまま身を委ねても良いという意識と、このままではマズいという危機感が同居している。
意識の片隅では、悪魔バフォメットの何らかの術にかけられたという思いがある。
しかし、抗えない。
ヒリヒリするほどの警戒感が押し寄せるが、同時に心地よさや快楽のようなものが波のように訪れる。
思考が停止して、淫らな空気に支配されていく感覚。
禁欲生活じみた日々を送っていたからだろうか、全身がそういった空気を受け入れようとしている。
精神に直接訴えかけてくる快楽。
この世のものとは思えない、淫蕩に身を浸しているような気分に抗えない。
はぁ~、ええ気持ちやぁ。
そんな言葉が、自然と口から出てきそうだ。
ずっとこのままでいたい。
頭の中が溶けてしまいそうだ。
「ふふ、気持ちがよかろう。」
精神の敏感なところをくすぐるような声が聞こえてくる。
「··········································。」
「もっと、快楽の波に身を委ねるが良い。」
淫猥な声がこだまする。
「··········································。」
「さあ、我とひとつとなり、さらなる快楽に溺れるのだ。」
何かが入ってくる感覚が訪れる。
これまでに経験をしたことのない感覚。
「···声だけじゃ無理だ。視覚的にも···刺激をくれ。」
言葉や感覚だけでは物足りない。このままでは、最高の快楽にはまだ遠い。
なぜか、そんな気持ちになっていく。
「ふふふ、貪欲な奴だ。ならば、我の姿を見て悶えるが良い。」
スーッと、急に視野が広がった。
この世のものとは思えない淫らな顔をした女性。
頭部には黒い山羊の角があり、背中から同色の翼が広がっている。
何も纏っていない上半身には、豊かな2つの隆起が認められ、そこから下は芸術的なラインが走っている。
訪れる高揚感に抗えず、視線の先をさらに下に向かわせる。
「·········································。」
「さあ、迎え入れよ。我と一体となるのだ。」
ドッバァーン!
俺は無意識にHGー01を撃ち放っていた。
「な···我の邪淫から抜け出た···だと···。」
「てめぇ、その股間にぶら下げたモノで1つになれとか言ってんじゃねぇよ!」
ドバッドバッドバッドバァーン!
竜孔流をこれでもかと込めて、全弾を叩き込んだ。
パリィーンという、何かが破砕する音が耳に届く。
急激に視界が開け、元の洞穴の様相が目に入ってきた。
正直、危なかった。
邪淫だか何だかはわからないが、あやゆく快楽に意識が支配されるところだった。
奴のある部分を見て、アヤの言葉が突如甦ったのだ。
悪魔バフォメットは両性具有。下半身には、野郎しか持っていない固有の象徴があった。
それに蹂躙される図が瞬時に頭に浮かび、正気に戻れたのだろう。
おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。
よろしくお願いしますm(_ _)m
新作、「芒星の勇者 ~勇者として召喚されたけど、好き勝手に生きて何が悪い~」も同時連載中です。こちらもよろしくお願いします。
https://ncode.syosetu.com/n1091hn/




