第3章 絆 「悪魔バフォメット③」
「クリスを拐ったのはなぜだ?」
いくつかの疑問が生じている。
妖精レンゲショウマが言っていたように、精霊レーシーが妖精パックを従えて、森に立ち入った者や他の妖精に危害を加えるようになったのはなぜか?
そして、クリスが拐われた理由。
それらをロビン・グッドフェローに確認することにした。
「サタアキナ···悪魔バフォメットは、人の社会こそ精霊や妖精にとっての脅威だと刷り込みを行ってきた。」
だから森に立ち入ってきた者を襲うというのは理解ができた。
確かに、悪魔云々は別にして、人は自らの生活のために精霊や妖精の住む空間を侵食するようなことをしている。
自然破壊であったり、戦であったりと、その内容は様々だが、元の世界でもこちらでも、それは大きくは違わない。
しかし、危害を加えるのではなく、拐うという行為には何か目的があると考えられた。
「人を生け贄にした何かの儀式をするとか、憑依して人間社会を裏から牛耳るなどといった目的でもあるのではないのか?」
「詳しくはわからない。純潔の人間を連れてくるようにと、指示をされていた気がする···。」
ロビン・グッドフェローの様子からすると、本当に詳しい意図を知らされずに動かされていたようだ。この場で嘘をつく理由もない。
「純潔ねぇ···。」
俺はクリスの方を見る。
目があった。
「エ、エージェント・ワン。そろそろ、これを外してもらえないだろうか···。」
ああ、忘れていた。
彼は拘束された状態で不安そうな顔をしていた。
それにしても、純潔というと···こいつチェリーか。まぁ、研究やら考察やらに没頭していて、正常な男性としての営みに欠いた生活を送っていたとしても不思議ではないが···。
しかし、男だぞ。純潔であるからといって、なぜ拐う必要がある?
俺はクリスの拘束を解きながら、ロビン・グッドフェローに質問をした。
「その純潔の人間というのは、性別を問わずなのか?」
「どちらでもよかったはずだ···。」
何が目的だ?
男女問わずというのは···。
「バフォメットは確か、両性具有だったな···。」
アヤがつぶやくように言った言葉が悪寒を感じさせた。
え···怖っ。
嫌なものを想像させる。
オカルティックなBLかよ···。
ふと、クリスの方を見たが、彼の顔色はこれ以上になく蒼白となり、死人のような目をしていた。
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