第3章 絆 「黄昏の森⑯」
上半身は人だが、下半身はヤギ。頭部にある角が特徴的で、禍々しい色をしている。
ロビン・グッドフェローは妖精パックの外見に酷似していたが、その大きさは精霊レーシーに負けず劣らないものだった。
上空を旋回しながら数多の剣による攻撃を仕掛けるマルガレーテだが、その攻撃はロビン・グッドフェローの周囲に強固に張り巡らされた障壁に弾かれている。
「妖精王の息子だと言っていたが、ロビン・グッドフェローは精霊なのか?」
「妖精から進化して精霊となるケースは珍しくない。特にロビン・グッドフェローは、妖精王オーベロンと人の間に生まれた半妖精という立場にあったからな。力を欲し、精霊にまで昇華したのだ。」
「詳しいな。」
「妖精だった時のロビン・グッドフェローは悪戯好きでな。古い時代の話だが、私がいた森で立ち入って来た人間をよく困らせていたのを覚えている。それほど悪質なものではなかったが···。」
アヤの解説を聞くが、それだけでは今の行動の原因を推察することは難しい。
「目的が何かはわからないのか?」
「わからない。しかし、あれは私の知るロビン・グッドフェローではない。」
「何かに操られているのか、憑依でもされている可能性は?」
「多分にある。」
話しているうちに、ロビン・グッドフェローの角が明滅し始めた。濃い紫の光。禍々しさがあふれでるような雰囲気だ。
「あの角は、昔からあの色なのか?」
「いや···淡い灰色だった。」
気配というのは、存在によって様々だ。
人なら人の特徴を備えているように、精霊ならそれ特有のものがある。
「あの角からは、精霊ではなく悪しきものの気配を感じる。」
アヤがつぶやいた言葉に、俺も同じ結論に思い当たった。
「ああ···完全一致とはいかないが、あれは悪魔の持つ気配に似ている気がするな。」
ロビン・グッドフェローそのものが悪魔というのではない。
頭部の角が明滅を繰り返す度に強くなる気配。それが、悪魔特有のものに似ているのだ。
王都を強襲したものと関連があるかはわからないが、ここでもまた、奴らと対峙することになる予感が膨らむのだった。
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