第3章 絆 「黄昏の森⑧」
レンゲショウマらしき光が揺らいだ。
後方から近づいてくる気配。
「タイガ、大丈夫···か···。」
「ああ。問題ない。」
「「「··································。」」」
振り返ると、ファフにソル、それにマルガレーテがこちらを見ていた。
いや、正確にはファフは視線を外し、ソルは両手で顔をおおっている。
無遠慮に凝視しているのは、マルガレーテただ1人だった。
「クリスはどうした?」
「···彼は自走式馬車の点検をすると言って残っている。何かあったら、すぐにわかるような合図をすると言っていた。」
「そうか。」
「「「··································。」」」
「なんだ?どうかしたのか?」
「···タイガの変態。」
3人の様子がおかしいので問いかけたのだが、それまで黙っていたソルがぼそっとつぶやいた言葉が胸に刺さってきた。
「ソル···その言葉はひどくないか?」
「「「!?」」」
「何なんだ?さっきから、3人とも変だぞ。」
「変なのはあんただっ!」
ファフが怒声をあげた。
「ん?」
「そんな風に小首を傾げても、かわいくもなんともないからなっ!」
「何を言っているんだ?」
「だからっ!当たり前のように両手を腰にあてて、仁王立ちでこちらを向くなと言っているんだっ!!」
「ああ···そう言えば、真っ裸だったな。」
「な、なんで、平然としていられるんだっ!?本当に変態かっ!!」
俺にはファフの怒りが理解できなかった。
エージェントが裸を見られて焦るようでは、この世も末だろうに···。
「気にするな。俺は気にしない。」
「するわっ!」
最近、ファフのツッコミが関西人染みてきたのは、俺のせいだろうか。まぁ、こちらにしてみれば、親しみやすくて良いのだが···。
「誤解のないように言っておくが、俺は変態じゃないぞ。全裸でも立ち回りができないようでは、すぐに命を落とす世界で生きてきたからな。別に減るものでもないし、気にしたら負けだ。」
冷静に語ったが、ファフとソルは耳まで真っ赤にして去って行った。
最後まで視線をそらさなかったマルガレーテも、クスッと笑いながら2人の後を追っていく。
···いや、マルガレーテよ。
その最後の笑みが気になるぞ。
小さいとでも言いたかったのか?
確かに、人種的に言えばワールドワイドなサイズではないのかもしれないが、硬度では負ける気はしないからな。
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