第3章 絆 「クリストファー・コーヴェル②」
「戦闘用の魔道具に関しては手を着けているのか?」
今後、クリスが同行するのであれば、期待をする主たる理由はそれになる。
乗車している自走式馬車を開発できたのであれば、そちらも可能だと思えた。
「私が強引に君に同行しようと思ったのは、正にそれが理由だよ。」
「興味は持っていたが、これまでは着手していなかったということか?」
「そうだ。こちらの人間は、魔法という非科学的なものを使う。わざわざ道具に頼ろうとする思考には至らない。そういった意味で、これまでは触れることはなかった。しかし、そんな未知なものを使って、悪魔を排除する者がいると聞いて興味をひかれたのだよ。まさか、それが君だとは思わなかったけどね。」
クリスは普段は寡黙で、何を考えているかわからない奴だった。
今のように饒舌になるということは、多分に興味をひかれている状態だと言える。
「クリスには魔力があるのか?」
「当然だ。私はこちらの世界で生を受けたのだから、その常識の中の生態だ。そういった素養も、大なり小なり誰もが持つことになる。いや、そうか。君には···魔力がないのだな?」
さすがに思考が速い。
俺がいわゆる魔道具に頼る理由に、これまでの会話で行き着くのだ。魔力があって然るべきとは考えないのが、この男らしい。
「俺は以前のまま、こちらに来ることになった。転移と言えば良いのかもしれないが、その因果で魔力には縁がなかった。」
「興味深い話だ。魔力がないと、君に対して発動された魔法はどうなるのかね?」
「俺に魔法は効かない。」
「なるほど、理論通りか。Xの魔法はYの魔力に反応して初めて効果を発揮するという論説は正しかったのだな。」
「そんな論説があるのか?」
「何かで目にした記憶がある。魔力がない人間···他の物質についても同様だが、それを持たないものが皆無の世界で、ナンセンスなものを発表するなと感じたものだ。しかし、君のような存在が出現すると、それも正しかったといえる。いや···過去にはそういった事例があったとも考えられるな。」
そういった会話の中で、一つの疑問が浮かび上がった。
俺がこちらの世界に来たのは、テトリアとの因果関係によるものだ。だったら、なぜこの男はこちらに来ることになったのか。
単なる偶然なのだとしたら、他にも転生者や転移者がいる可能性が出てくる。
それとも、この男にもテトリアや神アトレイクとの因果関係が存在するのだろうか。
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