第3章 絆 「マルガレーテ⑥」
カチャ。
部屋のドアが開いた。
ピッキングで解錠するにも、上半身裸の今の俺には、針金すら手もとにはない。
だからと言って、破綻するのはどうかと思うので、素直にドアをノックして「開けてくれないか?」と声をかけたのだ。
開いたドアからは、ファフの顔が見える。
眉間にシワをよせて、「何してんのコイツ?」というような表情だ。
まあ、部屋で寝ていたはずの俺が上半身裸で外から帰ってきたら、そんな表情になるのは当たり前かもしれない。
軽くため息を吐きながら、「マルガレーテを部屋に入れたのは俺なんだけど···。」などとつぶやいている。
···いやいや、部屋に入れるのはかまわないが、なぜ俺が寝ている所に通した!?
「節操なく襲いかかると思ったけど、違うんだな···。」
···この時、ファフが俺に抱いていたイメージを初めて知ることになった。
いや、そんな実証実験みたいなことはやめて欲しいのだが。
さすがにそれはどうなんだと思い、カウンター攻撃を仕掛けてみることにした。
「美女なら見境なしに手を出すのなら、俺は真っ先にファフに這い寄ってるわ。」
半分ネタのつもりで、そんなことを言ってみたりしたのだが···ファフは顔を真っ赤にしてフリーズ状態になってしまった。
あれ?
思っていたのと違う···。
まぁ、良い。
面倒になったので、俺は平然を装って着るものを手に入れるべく、自分の部屋へと向かった。
途中、居間にあたるスペースを通ったのだが、そこにはマルガレーテとソルがいる。
何やら、マルガレーテがソルの髪を三つ編みにしていた。
意外な組み合わせだが、仲が良さそうなので何よりだ。
ファフもそうだが、もしかするとマルガレーテも妹属性には弱いのかもしれない。
何かあったら、ソルを盾に使うか···などと、不穏なことを考えながら2人にアイコンタクトを送り、自室の扉に手をかけた。
「タイガ···何で裸で外から帰ってきたのかな?」
いやいや、ソルよ。
そこは掘り下げなくても良いぞ。
「たぶん、趣味だと思うわよ。」
マルガレーテ、おまえ···。
「ソルはあんな真似をしたらダメだぞ。」
ファフ、おまえもか···。
「え~、しないよ。あんなの変質者みたいだし。」
···引きこもっても良いだろうか?
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