第3章 絆 「マルガレーテ④」
疲れていたのか、昨夜はベッドに横になってすぐに睡魔に襲われたようだ。
目を開けると、暗闇の中にいた。まだ深夜帯だと感覚でわかる。
中途半端な時間に目が覚めてしまったが、元々が規則正しい生活を送っていたわけではない。
短時間の睡眠でも、それなりに意義はあった。
それよりも、早く寝たから目が覚めたというのもあるが、妙な温かさと何かが体に貼りつくような違和感が大きい。
ただ、不快な感じではない。
微かに花のような香りもした。
「·········································。」
これは···久々のやつだ。
誰かが俺を抱き枕のようにしている。
エージェントという職業柄、感覚は鋭かった。
殺気や悪意のような気配を感じれば、すぐにでも目が覚めたはずだが、今回はまた例のやつだ。
というか、誰?
顔のすぐ近くに頭部がある。
薄暗いから髪の色まではわからない。
そっと、その人物の髪をかきあげる。
予想外の人物がいた。
同じ宿にいるのはファフとソルだけだ。彼女たちは、それぞれに個室で休んでいるはずだった。
トイレに行ったソルが寝惚けて部屋を間違えたのかと思ったが、まさか彼女がここにいるとは···。
いや、これは夢だろう。
これまでのマルガレーテを見る限り、少し変わった娘だとは思っていたが、彼女は気高くプライドも高い。
まさかこんな真似をするはずはなかった。
よし···寝よう。
俺は気にせずに、再び眠りにつくことにした。
「おはようございます。」
目を開けると朝だった。
そして、俺を間近で見下ろしているマルガレーテがいた。
···いやいや、そんなはずはないだろう。
これはまだ夢の続きに違いない。
俺はすぐに瞼を閉じ、二度寝···いや、三度寝をすることにした。
はっきり言おう、感覚的にこれは現実なのだと理解はしている。
だが、よりによってマルガレーテとは···。
彼女はある意味で危険な存在だ。
既成事実を捏造して、何かの要求をされそうな予感すらある。
誰か···助けてくれ。
おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。
よろしくお願いしますm(_ _)m




