表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結&1109万PV突破!】エージェントは異世界で躍動する!  作者: 琥珀 大和
エージェント、またどこかに飛ばされる!?
1070/1622

第3章 絆 「マルガレーテ②」

「安心してください。あなたがこれから先、私に干渉しないと約束いただけるのであれば、過去のことは水に流しても良いと思っています。」


先ほどまでとは違い、マルガレーテの表情には笑みが浮かんでいた。


ただ、その瞳には感情はなく、まるで氷のような冷たさを伴っている。


「···断ると言ったら、どうするつもりだ?」


激しくなった動悸に苦しさを感じながらも、自らの立場やプライドを思えば簡単に引き下がることはできない。キャロライン公爵は無理にでも自分を奮い立たせながら、マルガレーテを諌めようとした。


ヒュッ!


風を切る音を聞いたキャロライン公爵の喉には、マルガレーテが抜いた剣が突きつけられていた。


「!?」


視認できない速度での抜剣。


そして、その剣先からは、マルガレーテの本気の殺意が伝わってきていた。


「勘違いしないでください。これは嘆願ではなく提案です。あなたの答えがどちらでも、一向に構いません。」


淡々と話すマルガレーテの瞳を見たキャロライン公爵は、すべてを悟ることになる。


自分がそうであるように、マルガレーテもまた、父親である自分を物程度にしか思っていないことに。


意に添わない返答であれば、マルガレーテは躊躇いもなく自分の首をはねるであろう。


キャロライン公爵は、無意識に膝を床に落としていた。


過去に感じたことのある自分の娘への恐怖が、今再び蘇ってきてしまったのだ。


「···その反応は、提案を受け入れたと見なします。一両日中に屋敷を出るつもりですので、その後はキャロライン家から除名をしていただいてもかまいません。」


そう言ったマルガレーテは、一方的に話を終わらせて踵を返した。




あの男か?


あの男がマルガレーテを誑かしたのか?


床に膝を落としたままのキャロライン公爵は、震える体をそのままに、事の経緯について思考を巡らせた。


怒りや混乱などといった感情が身を包むが、打開策がないかの検討は怠らない。


このままマルガレーテがキャロライン家を離れてしまえば、これまでに自らが築いたものの一角が崩壊しかねなかった。


だが、今となっては、マルガレーテに意見できる者などいようはずがない。


悪魔との闘争での功績により、彼女の立場はキャロライン家とは関係なく、侵し難いものとなってしまっている。


では、今回の離反劇の要因と思える男に対して、何かの謀を行うことは可能か?


·······································。


マルガレーテを誑かした張本人とて、すでにこの国の救世主のような立場にあった。


結局、キャロライン公爵は無駄な足掻きであるとは感じながらも、国王にマルガレーテを諭してもらう以外の策を見い出せなかった。


不本意ではあるが、国の意向として彼女に枷をかけてもらうしかない。


それとても、低い可能性に過ぎなかったのだが···。









おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。

よろしくお願いしますm(_ _)m 

  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ