第3章 絆 「悪魔掃討作戦⑮」
扉を開けた正面の壁。
そこに掛けられた闇夜の宝珠は、薄暗い部屋の中にも関わらず、艶やかに光を放っていた。
宝石などの類いは、光を反射することで輝く。
だが、この場にはそのような強い光は存在しない。
「なるほど。名は体を表すか···。」
今のところ、違和感などは感じない。
悪魔公ジャミスやソルの話からすると、闇夜の宝珠を取り込むことで悪魔王になれるらしい。
だがそれは、器となる体に憑依するということではないのだろうか?
もし想像が正しいとしたら、闇夜の宝珠とは悪魔王の幽体や感情体···いわゆるアストラルボディを指すのではないかと考えられる。
スピリチュアルやオカルトな概念について詳しい訳ではないが、俺のソート・ジャッジメントは超能力の一種である。
アストラルボディは、19世紀に実在した魔術師が提唱した考えが起源とされているのだが、超能力を発動させるためのエネルギーだとも言われている。
そういった背景もあり、いろいろと知識として持つに至ったのだが、その概念が当てはまるのであれば、闇夜の宝珠とは想像以上に厄介な代物のような気がしてならない。
素質を持つ個体が器として見出だされ、闇夜の宝珠を取り込むことで悪魔王の能力を踏襲する。
では、それがアストラルボディだったとしたら、精神も悪魔王に支配をされてしまうのではないだろうか···。
そこまで考えた時に、これまでは感じなかった違和感に襲われた。
ひりつくような感覚。
何かの気配が闇夜の宝珠から伝わってきた。
竜孔流を全身に纏う。
ここに来る前に、竜孔は発動を開始していた。
何かが起こる前に対処をした方が良さそうだと思い、一歩を踏み出す。
"人間···いや、グルルの気配を持つ亜神か···。"
俺の頭に直接語りかけてくる奴がいた。
十中八九、闇夜の宝珠に巣くう何者かだろうが、以前にも似たような感覚に陥ったことがあるのを思い出した。
···情報を拾い出すべきか。
それとも、無言で消滅させるべきか。
神アトレイクとの邂逅が思い浮かぶ。
よし···すぐに消し去ってやろう。
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