第3章 絆 「悪魔掃討作戦⑫」
演算が加速する。
元の世界の時よりも、その効果は高く鮮明だった。
竜孔流が作用しているのだと知覚する。
正面から俺の目をとらえた悪魔。
演算が導きだす、奴の行動パターンは3通りあった。
しかし、その目に宿った感情を垣間見て、次の動きを決定づけた。
縮地。
奴が消えたと同時に、俺は西方に視線を移し、両手にはHGー01を構えていた。
「なぜだ!?なぜ、こちらの縮地先がわか···。」
現れた悪魔は、驚愕に顔を歪めている。
ドバッドバッドバッドバァーン!
二丁のHGー01は、1秒にも満たない間に10発の50口径弾を吐き出し、悪魔が幾重にも展開した魔法障壁と、その肉体の大半を破壊した。
刹那、タイガの攻撃にタイムラグが生じる。
悪魔ジャミスは、HGー01の装弾数のことなど知るよしもない。しかし、薄れる意識の中で、本能的に攻撃を凌ぎきったと感じて、再び縮地による逃げに転じようとした。
「!?」
だが、ジャミスの視界を、それまでとは異なる形状の魔道具から迸る赤い光線が射た。
ドッゴーンっ!
弾切れとなったHGー01を瞬時にAMRー01に持ち変えたタイガは、レーザーサイトでジャミスの局部を狙い撃ちする。
50口径弾が撃ち込まれた際に、魔法障壁が最も展開された位置。
演算処理が導きだした、核のある可能性が最も高い右胸部。
ブッシャッ!
竜孔流を纏ったホローポイント弾が、ジャミスの右胸部を剥ぎ取り、その衝撃で後方に弾き飛ばすと同時に、青い炎で包んだ。
「すまない···取り乱した。」
ファフがタイガに謝罪をしようとした。
「それだけ、ソルを大事に思っているということだろ?問題はない。」
ソルに竜孔流を注ぎ続けた結果、悪魔に干渉されることのない本質へと変化したように思う。
しかし、その弊害として、もう悪魔の能力は使えなくなったとも聞いている。
今のソルには自衛能力がない。
だが、それは置き換えれば、人間としての生活を始める第一歩となると言える。
普通の人間とそれほど変わらない存在となったのであれば、俺やファフが守ってやれば良いだけの話だった。
一方、悪魔ジャミスの命は、完全に果てたようだ。
核を破壊した上に、竜孔流の力でその体を焼いたのだ。これで再び立ち上がろうものなら、厄介でしかなかった。
「俺は今からマルガレーテたちと合流する。ソルが気がついたら···いや、治療をしてやってくれ。」
非致死性弾とはいえ、何のダメージも無いわけではない。
謝罪は、自らの口から言うべきだろう。
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