第3章 絆 「悪魔掃討作戦⑪」
縮地の刹那、ジャミスは自らの本能が導いた行動が信じられなかった。
たかが人間風情を相手に···あの双眸から青い光が発したかのような幻覚に見舞われて、恐怖を感じたのだ。
自分は今代の悪魔公。
四方の守護者ならまだしも、矮小な人間にそのような感情を持つなど、あり得るはずがなかった。
思考や理解が追いつかないまま、縮地の先の光景が広がった。
「!?」
そこには、あの脳裏に刻まれた奴の双眸が···そして、両手に携えられた何かしらの魔道具が向けられていた。
「なぜだ!?なぜ、こちらの縮地先がわか···。」
マーキングストーンによる罠で、数十体の悪魔達が押し寄せてきた。
第一陣を難なく掃討し、続く第二陣に、詠唱の終えたレーテが結界内で極滅魔法を発動させた。
結果として7割がたの悪魔が消滅し、残党に対する攻撃を加えている時に王都からの通信が入ることとなった。
「タイガ様は、先に王都に向かってください。あとは我々が受け持ちます。」
マルガレーテが言う通りに、俺はすぐに王都へと転移した。
第三陣が来る可能性もあったのだが、結界を張れない俺よりも、彼女たちが残る方が建設的だと判断したのだ。
王都に到着した俺は、すぐにソート・ジャッジメントを発動し、こちらに現れた悪魔たちを追った。
城門前に到着し、ファフやルイーズたちが無事であることを確認したのだが、強大な障気を放つ悪魔の様子を見て、怒りの念が現れた。
ソルを吊し上げ、盾のように前にかざす悪魔。
その口から発せられた言葉は、ソルのこれまでの辛い日々の諸悪がそいつであることを物語っていた。
異世界に転移する直前と同じ感覚が俺を襲う。
Judgment calculation of thought
再び、この感覚に見舞われることを望んではいなかった。
しかし同時に、これが奴を屠るための武器となるのであれば、それは有効活用すべきだとも思った。
相手は人間ではない。
だが、その思考に関しては、演算で処理できるものに相違ない。
悪魔の思考を演算。
高確度で予測。
SGー01を取り出して、樹脂を用いて作った、血糊を仕込んだペイント弾としての側面を与えた非致死性弾を装填。
気配を消しながら、悪魔の背後に回る。
「反吐が出るな。」
声を発した途端に、悪魔がソルをこちらにむけて押し投げてきた。
ドンっ!
ソルが被弾することは、予測の範疇にあった。普通に助けに入った場合だと、相手に隙を見せることになる。
混乱と怒りに身を置いたファフに、言外に"魔眼で状況を読め"と伝えた。
対話を続けようとした悪魔から情報を引き出すために、籠絡者スキルを使用。
強者の傲りか、べらべらと状況を漏らす悪魔から、必要最低限の情報を引き出すことに成功した。
あとは、この災厄を消せば、一段落つきそうだと判断ができた。
おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。
よろしくお願いしますm(_ _)m




