第3章 絆 「悪魔王⑬」
「···タイガ様。私の魔法障壁が消し飛びましたが···。」
「人形が···木っ端微塵に···。」
「·········································。」
三者三様の反応だった。
だが、今回の実験で、新しい武具のための弾薬は完成したといえる。
「おかげで検証が無事に済んだ。3人とも、ありがとう。」
「「「·······································。」」」
あれ?
反応が薄いな。
と言うか、3人の目がドン引きしているように見えるのは気のせいだろうか?
「これで悪魔に対抗するための武器が半ば完成した。みんなのおかげだ。」
「「「·······································。」」」」
···だめだ。
リアクションがない。
「マルガレーテ様、あれは何なのでしょうか?」
「···········································。」
「まさか、マルガレーテ様の魔法障壁を瞬時に消し去った上に、標的の人形が塵のように消し飛ぶとは···。」
「···········································。」
悪魔に対抗するために製作しているというタイガの武器に関しては、これ以上になく頼りがいのあるものに違いない。
それは三者共の共通認識と言っても良かった。
しかし、賞賛を口にするレーテやシンとは違い、マルガレーテの心中では憂鬱な思いが駆け巡っていた。
『あれは···誰かと共闘するための武器じゃない。タイガ様は、1人で悪魔に挑もうとしているのでは···。』
マルガレーテが抱いた不安は、おそらく間違いではない。
魔法障壁を破壊し、かつ対象そのものに強大なダメージを与える魔道具。
それは、共に戦う仲間がいる場で使うようなものではなかった。
破壊を司るのは、薬莢という筒から放たれた金属の塊。
あれは対象を破壊するだけではない。
近くにいる者にまで、被害をもたらすような凶悪なものだ。
そして、魔法障壁を破壊する性質を思えば、そこにいる者に防ぐ手立てはほとんどないと言っても良い代物でもある。
そしてタイガの性格を思えば、仲間を犠牲にしてまで、悪魔を殲滅する手法をとるとは思えなかった。
『タイガ様···あなたは、私を横には並び立たせてくれないのですか?』
マルガレーテの心うちには、見渡す限りの虚空を見るかのような思いが寄せてくるのであった。
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