第3章 絆 「悪魔王⑫」
「タイガ様···なぜ、ここにレーテが?」
目的地に到着をしたが、そこにあらかじめ呼んでいたレーテを見たマルガレーテが、氷のような声を出した。
よくわからないが···怖ぇよ。
「レーテとシンには先に来てもらって、準備をしてもらっていた。」
「シンも···いるのですか?」
ジト目でレーテを見るマルガレーテ。
かわいそうに、レーテは猛獣を前にした小動物のように震えている。
パワハラはやめてあげて。
「俺の新しい武具を作るために、無理を言って実験につきあってもらうことになった。本来なら、上官であるマルガレーテに筋を通すべきだったと思うが、いつ悪魔が攻めこんでくるのかわからない状況だからな。気持ちに余裕がなく、失念していた。申し訳ない。」
本当は単に根回しを忘れていただけなのだが、マルガレーテの機嫌が大変思わしくないので、俺が緩衝材になった方が良いと判断した。
最近でこそマルガレーテは見た目にそぐわない態度を示してくれていたが、オヴィンニクの様子を察するに、最恐の上官だというのは今も変わらないのだろう。
「そう···ですか。それならば、仕方がありませんね。」
ふっと息を吐き、表面上にせよ折れてくれたマルガレーテに、礼を言っておく。
「ありがとう。今度、何か埋め合わせをする。」
ギラッと、マルガレーテの瞳が光った気がした。
「本当ですか!?約束ですよ!」
「ああ。」
···俺の直感が告げていた。
この約束を反故にした場合、俺は血を見ることになるだろうと···。
シンが用意してくれた数十体の人形の前に、マルガレーテの魔法障壁が展開される。
そこから15メートルの距離を置き、木材加工に使われる万力を樹木に設置して、試射用の薬莢を固定した。
「レーテ、頼む。」
「はい。」
発射用の雷管役として、レーテが火属性魔法を薬莢に放つ。
大した威力はいらないが、小さい薬莢にピンポイントに当てる技術はさすがというべきだろう。
当初は暴発の可能性を考慮して、聖属性魔法によるゴーレムが試射台の役目を担うはずだった。
しかし、あてにしていたスティンベラーがゴーレムを操れないため、魔法障壁を展開してもらう予定だったレーテに雷管役を引き受けてもらい、代わりに魔法障壁の展開役としてマルガレーテに助っ人をお願いしたのだ。
結果として、王国内で最も強固な魔法障壁を、実験の検証に利用することができた。
結果オーライと言えば、その通りだろう。
ただ、その対価として、マルガレーテに借りを作ってしまったのは···いや、あまり考えないようにしよう。
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