第3章 絆 「悪魔王⑤」
「父であるキャロライン公爵は、玉座を狙っているのですよ。」
不機嫌極まりないといった表情で、マルガレーテがそうつぶやいた。
「そうか。まぁ、良くある話だな。」
「ええ···ですが、それをわかっていて、陛下もうまく利用しようとしています。普段はあんな感じですが、中身は切れ者ですから。」
「そうでなければ、国は治められないだろう。」
「はい。でも、国の発展を阻害しているのも、あの2人に違いありません。」
「国の行く末を憂いているのか?」
「あまり良い思い出はありませんが、これでも生まれ育った場所ですから···。」
少し意外だった。
あまり、そういったことには関心がないように思えたのだ。
「マルガレーテは王の血筋だったな。だったら、玉座を狙ってみるのも良いかもしれないな。」
「冗談はやめてください。私にはそのような資質はありません···でも、タイガ様が王になるというのであれば、一生を捧げますよ。」
マルガレーテは、冗談なのか、本気なのか判断のつかない表情をしていた。
「マルガレーテが生涯を捧げてくれるというのは魅力的だが···俺も政に興味はない。」
「そうですか···。」
少し残念そうに視線を落とすマルガレーテ。
しかし、その後の微かなつぶやきが俺の耳朶に響いた。
『言質、とりましたよ。』
つぶやき程度の声量にも関わらず、その言葉はなぜか俺の心内に深く突き刺さったような気がした。
「え?」
「···どうかされましたか?」
マルガレーテは、これまでで一番とも言える華やかな笑みを浮かべていた。
「·········································。」
何だろうか···。
今この瞬間に、何か恐ろしいフラグが立った気がする。
いや、俺はフラグクラッシャーと呼ばれていたはずだ。
気にしなくても問題はないだろう。
···大丈夫···だよな?
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