第3章 絆 「悪魔王④」
「闇夜の宝珠については、知っていたのか?」
国王の話が終わった後で、俺とマルガレーテは談話室のような部屋で二人きりになっていた。
特に意図はない。
今後のことで少し話がしたかったので、お茶に誘った。ルイーズやビーツも誘いたかったのだが、国王からドレインセルク公爵への書状を預かっていたために、先に城を出ることになったのだ。
「初めて聞きました。ですが、これで有事の際に、王城から離れないようにと指示を受けていたことに納得がいきます。」
マルガレーテは、この国の最大戦力だ。
確かに、魔物が侵攻してきたのにも関わらず、現地に赴くことがなかったことには疑問があった。
「俺が悪魔と対峙した時に、抜け出して来たのは問題がなかったのか?」
「後で小言を言われましたが、咄嗟の状況判断で動いただけですし、闇夜の宝珠については何も知らなかった訳ですから、問題にされるべきではありません。」
確かにその通りだ。
国王がどう意図していたにせよ、本人が知らされていないことで職務放棄などと言われる所以はない。
「だが、なぜマルガレーテにさえ口止めをしていたのだろうな。」
「どうでしょうか···。想像に過ぎませんが、父との確執が影響しているのかもしれません。」
「確執か···確かにあり得そうだな。」
国王は狸だ。
対外的には飄々としているが、実は怜悧な頭脳を持った策略家だと感じている。
それはスティンベラーや暗部の情報統制の高さからも、それほど的外れなことではないはずだ。
一方、キャロライン公爵は、自らの有能さを隠そうともしない野心家だ。マルガレーテの幼少期のことを考えると、冷徹で人間味にもやや欠けるところがある。
采配や公共事業の掌握を鑑みると、現状ではこの2人が、国の維持を担っていると言っても過言ではない。
しかし、互いに牽制している向きもある。
「信頼しても信用するな」という言葉があるが、これは2人の関係性を表すのに丁度良いものかもしれない。
要するに、互いに期待はしても、結果が自分の期待するところにおさまるとは思うなという意味合いだ。これはビジネスの世界などでは、マネジメント領域が念頭に置かなければならない内容だ。
信頼とは、相手の実績に関係なく期待をする気持ち。対して、信用とは、相手が積み上げてきた実績や成果のことを指す。
国王とキャロライン公爵の関係性で言えば、少し趣きが変わるものではあるのだが、互いに事案をこなす力は認めているものの、その結果に期待はしていないと感じられる。どちらかと言えば、物事を自身の糧となるように仕向ける傾向が強いのだと考えられるのである。
「国防の最大懸念事案を、臣下にも漏らせないか···。」
以前にスティンベラーとの話で出てきた、悪魔に加担する内通者という話ではないだろう。
あれは過去の話であるのと同時に、俺のソート・ジャッジメントでは、キャロライン公爵にそこまでの悪意はないと判断しても良い。
となると、互いに権威者として、折り合いがつかないというわけなのかもしれない。
もしかすると、国王がルイーズ達に預けた書状は、ドレインセルク公爵との距離を縮めるためのものである可能性すらあった。
人情派のドレインセルク公爵なら、実務面がどうかではなく、人として信用ができると感じている節はある。
ルイーズとビーツが竜騎士として覚醒した今ならば、他の貴族達に対する理由付けにも十分なのだから。
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