第3章 絆 「悪魔を支配する者⑮」
「な···。」
王城へと戻り、事の経緯をスティンベラーを通じて国王へと伝えてもらった。
スティンベラーは、ソルの存在とマーキングストーンに関する推測を聞いて絶句し、その報告と対策に追われることとなったのだが、俺がソルを帯同していたため、国王の許可を得て謁見する場を急遽設けてくれたのだ。
本来ならば、ホムンクルスであるとはいえ、悪魔であるソルが城内に入れるはずはなかった。
しかし、予想とは異なり、国王は即答で俺とソルを招き入れてくれたのだ。
「よく許可が出たな。」
「それについては、私も驚いているよ。よほど君のことを信頼されているのだろう。」
謁見の場へと案内をしてくれているスティンベラーは、ちらちらとソルを見ながらも、迷いのない足取りで歩んでいた。
内心は不安でしかたがないはずだ。
俺が一緒にいるとはいえ、国主である王が悪魔と場を同じにするなど、臣下としては容認できることではないだろう。
「悪いな。」
「いや···これも務めだからな。」
「···わずかな時間で、そんなにも老け込むとは、本当に申し訳ない。」
スティンベラーは顔中に脂汗を浮かべ、頬がぴくぴくとひきつり続けている。
さらに、人間とはこんなにも急激にげっそりとするものだろうかと考えさせられるほどに老け込んでいた。
「あ···ああ···。気にしなくて良い。それよりも···頼むぞ。」
「わかっている。」
最後の言葉には、万一が起こらないように配慮をして欲しいという懇願が入っていた。
ソルの性質がどうであれ、客観的に考えれば当然のことだろう。
「念のために、謁見の場にはマルガレーテ様とファフ殿に同席をしてもらうことになっている。」
国王の護衛として、と言うことだろう。だが、それにファフが使われるということは、彼女が信頼を勝ち得たと考えても良いのかもしれなかった。
「わかった。最悪の場合は、俺が責任を持って処理する。」
そう告げてからすぐに、俺たちは国王が待つ部屋へとたどり着くのだった。
おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。
よろしくお願いしますm(_ _)m




