第3章 絆 「悪魔を支配する者⑬」
「ソル、これが何かわかるか?」
神殿の大広間を調べてみると、四辺の壁に魔石のような物が埋まっていることに気がついた。
他の部屋も調べてみたが、大広間以外には埋まっている様子はなかった。
装飾にしては目立たず、単体で見ても意味をなすようには感じられない。
だが、4つの石の延長線が、寸分の狂いもなく大広間の中央で交差しているところを見ると、何か作為的なものであると考えられる。
「これ···見たことがあるよ。」
「何か意味があるものだろうか?」
「···たぶん、マーキングストーンだと思う。」
「マーキングストーン?何かの目印か?」
「僕がいた所では、そのマーキングストーンに囲まれた場所に、毎日同じ時間に食事が出る仕組みになっていた。」
は···?
食事?
「それはここと同じように、一つのポイントを指すように複数の石が設置されていたのか?」
「うん。テーブルの周囲に置かれていたから、規模はもっと小さいけれどね。」
「········································。」
どういうことだろうか。
ソルの話では、縁に同じ石が設置されているテーブルに、毎日決まった時間に食事が現れるというのだ。
「マーキング···中央···。」
石が埋め込まれた壁と、それが指し示す大広間の中央を見比べる。
もしかして···。
何となく、マーキングストーンの役割を考えていると、嫌な想像に至った。
「ソルは転移することができるよな?」
「転移?」
「別の場所に、瞬時に移動をすることだ。」
「ああ、縮地のことかな。できるよ。」
「それも悪魔の能力か?」
「うん···。でも、できる人ばかりじゃないけど。」
「どれくらいの悪魔ができるんだ?」
「知っている限りだと、3人に1人くらいかな。」
「それは、自分以外の者にも行うことができるのか?例えば、縮地ができない悪魔を、他のところへ移動させるとか。」
「縮地は行き先のイメージが必要になるし、移動する本人の意識が弱いと失敗するから無理じゃないかな。」
マーキングストーンが、他者に縮地を施すための補助をするとしたらどうだろうか?
ソルがここに来たのは、自身の能力ではなかったはずだ。
もし、縮地の到達点として、マーキングストーンがその役割を担うというのであれば、それは人間にとっての脅威とならないだろうか?
ホムンクルスが人間社会に溶け込ます悪魔の傀儡として造られたのなら、その者達がマーキングストーンを街や城の周辺に設置することは容易いのではないかと思う。
そうなれば、悪魔は縮地を使い、いつでも人間社会に戦力を送り込むことが可能となる。
だが、そう仮定した場合、その目的がわからない。
悪魔は単体でも強力だ。
そんな回りくどいことをする必要があるのだろうか?
四方の守護者から加護を授かった者を脅威と見ているのか、それとも他に理由があるのか···。
今の段階では、思考を繰り返すだけで何の確証も得られない。
俺は一度王城に戻り、今の仮定を他の者と検証すべきだと感じた。
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