第3章 絆 「悪魔を支配する者⑧」
「ふむ···おまえ、名前は?」
「名前?」
「ああ。」
「名前···。」
つい先程まで嗚咽して自分を殺せと言っていた悪魔は、キョトンとした表情をしていた。
見た目相応の表情に、俺の中ではさらなる疑念が積み重なる。
「28号って呼ばれている···。」
「それは名前なのか?」
「名前じゃないの?」
何となく想像がついた。
悪魔らしくない風貌に、弱々し過ぎる邪気。
「似たような名前の奴がいたりしないか?例えば、1号とか20号とか。」
「いる···いたかな。」
「もういないのか?」
「うん···。」
「やめだ。こんな意味のない闘いは終わりにしよう。」
「そ、それは困るよ!?」
「なぜ?」
「それは···。」
俊巡した表情を見せた彼に、一つの提案をしてみた。
「一時休戦というのはどうだ?俺はおまえと話がしたい。」
「僕と···話を?」
「何かを抱えているように見える。解決できるかはわからないが、俺に自分のことを話してみないか?」
躊躇いの表情を浮かべるが、しばらく考え込んでから、彼はこくんと頷いた。
「俺はタイガと言う。そのまま呼んでくれれば良い。」
「うん···わかったよ、タイガ。僕のことは、28号と呼んでくれたら良い。」
「今はそう呼ぶが、後でちゃんとした名前を考えよう。それと、回復できるなら、傷は治しておいた方が良い。」
俺はそう言って、捕縛に使った鎖を解き、魔晶石を収納した。
「良いの?」
解放されたことに戸惑いを見せている。
彼は強い力を持ってはいるが、戦闘に関しては拙く、戦術などと言うものには明るくないようだ。
「かまわない。今は、普通に会話がしたいからな。」
「うん、ありがとう。」
普通に接していると、やはり見た目相応の受け答えをする。たまにうかがうような視線を投げてはくるが、状況を考えれば仕方がないことだろう。
こうして、俺は28号と呼ばれる悪魔と会話をし、やがて驚愕の事実を知ることとなった。
おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。
よろしくお願いしますm(_ _)m




