第3章 絆 「悪魔を支配する者⑥」
神殿に移動をしてから、かなりの時間が経過していた。
ケツバットでダメージを負わしたが、あの悪魔らしき存在には大した足枷にもならないと思えた。
羅術による攻撃、魔晶石による魔素。
どちらの結果を見ても、他の悪魔よりも手練れとしか思えない。
邪気の弱さや風貌には思うところはあるが、あの程度の攻防で撤退をするほどヤワではないはずだ。
···来た。
タイガは気配を読み取った。
神殿に入り込んだ悪魔だが、さすがに俺が今いる大広間に直接乗り込むほど短慮ではないようだ。
一矢報われたことにより、感情で行動を起こすようなら楽な相手と言えた。たが、奴は冷静な判断力を持っている。
離れた位置から様子をうかがいながら、好機を探るつもりだろう。
相当な戦闘力を秘めていると見るべきだが、力押しでこない分だけさらに手強い相手だと考えるべきだった。
俺はプランBに移行するべきだと判断した。
「···································。」
タイガを追って神殿に戻った悪魔は、同じ攻撃をくらわないように慎重に動いていた。
先程の大広間にあの人間がいることは探知していたが、拙攻では身を滅ぼす相手だと肝に免じている。
悪魔は基本的に策を弄しない。
他の存在に対して、強大すぎるほどの力を持つが故の性質だと言えた。
それは悪魔同士であっても基本は変わらず、互いの力を誇示する時は正面からぶつかり、相手を捩じ伏せることが最大の証明だと考えられていた。
『もうすぐ大広間だ。強い魔素の要因はそこから出ている。』
足音を立てず、気配を絶ちながら、敵がいる場所へと慎重に進む。
『気配が読めない?どこに行った···!?あれは···。』
大広間の入口である開口部から、通路にわずかにはみ出した棒状の何かが視界に入った。
『フランジメイス?奴の武器か···なぜ、あんなところに···。』
何度となく、あの人間の気配を探りながら、地面に落ちていたフランジメイスの近くにまで移動をした。
『やはり、フランジメイス。それにしても、奴はどこに···。』
タイガの気配を読むことができず、この場にはいないと判断をした悪魔は、足下にあるフランジメイスを掴んで持ち上げた。
ピーンっ!
「!?」
フランジメイスが何かに引っ掛かるような感触、そして炸裂音が同時に起こった。
「臭っ!?」
またもや、あの悪臭が悪魔を襲う。
そして···
バッコーンっ!
デジャヴのように、悪魔の臀部に痛撃が走り、その勢いで前方に吹っ飛ばされる事となった。
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