第3章 絆 「悪魔を支配する者④」
空間の歪みがすぐに大きくなった。
勘頼りだが、追ってきた悪魔が出現するであろうタイミングで、炸裂球が破裂するように地面を転がす。
「貴様っ!?」
現れた悪魔と目があった瞬間、炸裂球が破裂した。
ぷ~ん···。
「ぐっ!?な、ぶわぁふっ!!」
炸裂球に仕込んだ素材は、濃縮に濃縮を重ねたため、その効果は絶大なものとなっている。
仕込みの段階でまともにその効果を受けた俺は、3度も失神した。
鼻栓を付けた上で、何重にも布で作ったマスクを着用しなければ、あれは凶悪な臭いを振り撒き人の意識を奪ってしまうのだ。
ファフに「かわいい」と言わせた花は、英語名ではSkunkvineと呼ばれている。
Skunkvineを直訳すると、スカンクのつる草。因みに、和名はヘクソカズラという。
ヘクソカズラに漢字を当てはめると、その効果は容易に想像がつくはずだ。
俺は時間がある度に修練場でこの炸裂球を仕込んでいたのだが、オヴィンニクのメンバーたちは、手で鼻を押さえながらずっと嫌な目でこちらを見ていた。
唯一、レーテだけは俺の腹具合が悪いのではないかと心配をして声をかけてくれたのだが、近づいた瞬間に失神するというトラブルまで起こっていたりする。
さすがに鍛練の邪魔だと考えた俺は、茶目っ気でスティンベラーの執務室の隅で作業をさせてもらう承諾を取り付けたのだが、執務室の主はやはり失神、事の危険性を鑑みた宮廷治癒士たちに外側からドアを封鎖されるという事件にまで発展したくらいだ。
もちろん、俺は転移術で早々にその場を抜け出したのだが、そこに放置されたスティンベラーの安否は不明である。
···話を戻そう。
とにかく、その特製の炸裂球により、追ってきた悪魔は身動きをとれなくなっていた。
さて、ここからは俺の時間だ。
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