第3章 絆 「悪魔を支配する者③」
5体目の悪魔。
終始一貫して、邪気は弱々しいものだった。
だが、本能が告げている。
奴はこれまでに遭遇した悪魔の中でも、最強と言って良い存在。
悪魔の神殿で避けた攻撃は、おそらく羅術によるものだろう。
体表にまとった竜孔流の効果を試すには、相手が悪かった。
転移術で遺跡まで移動はしたが、こちらの位置は把握されていると考えた方が良いだろう。
転移術による空間の歪み、気配、竜孔流の残滓など、何らかのスキルを使って追ってくると感じていた。
長い時が過ぎる。
実際には数分程度のものだろうとも思うが、感覚を研ぎ澄ましている間というものは、体感値がまったく異なるものなのである。
···来た!?
空間に、ほんのわずかな違和感が生じる。
何もない場所が、微かにぶれた気がしたのだ。
俺は炸裂球を取り出して、安全ピンを外した。
この炸裂球には、ババではない別の物を仕込んでいる。ババはババで有用なのだが、1人で馬糞を集めてつめる作業は、味わった者にしかわからない辛さがある。
それに···状態にもよるが、やはり臭い。あれはやりすぎると、心が折れてしまうのではないかと本気で心配になるほどの孤独な闘いだと言っておく。
とにもかくにもだ、この大陸ではもっとクリーンな闘いを繰り広げようと考えていた。
鍛練の合間に、炸裂球に仕込むものを色々と検討してみた。
市場に出向いて様々な物を見聞し、何個かの試作品まで作ったのだが、一番のお気に入りをここで披露する。
露店がある通りを歩いていると、愛らしい白と赤のツートンカラーの花を、リースにして売っている店を見つけた。
これは一緒にいたファフが興味をひかれた物で、「花がかわいい」などと言って、ギャップ萌えをするような表情をしていたのが印象的だ。
店の番をしていた女の子に、興味本意で花の名前を聞いてみたのだが、「名前は知らない方が良いですよ。」と、ややひきつった顔で言われたことから、俺の探求心に火がついたのは言うまでもない。
すぐにリースを購入し、王城の書庫で調べてみた。
そこで俺は、見た目の愛らしさとは異なる、この植物の驚愕の事実を知ることになるのである。
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