第3章 絆 「悪魔を狩る者⑳」
魔法というものは、数学の公式のような術式で構成されている。
起源と起動を術式で成立させ、その原動力に魔力を使うという構図と考えれば良いだろう。
身近なもので置き換えるならば、電化製品や自動車が例えやすいのかもしれない。
家電製品や自動車そのものが魔法の属性···いわゆる媒体とした場合、それを動かすためには電気や燃料が必要となる。これが魔法で言うなら魔力ということだ。
そして、その動作を行うためには、指示系統がなければ成り立たない。機械であればCPUと呼ばれる演算処理を担う箇所がそれにあたり、その制御でエネルギーや力が回路と呼ばれる道筋に流れていくのだ。これが術式を唱える魔法士が担う役割と言えよう。
魔法の術式は、魔力を何らかの属性に変化させ、起動をさせたいその属性の魔法へと作り替える公式である。そして、その公式の最後には、ほぼすべての魔法で同じ式が用いられているのだが、それが俺に触れた場合に無効となり、かき消される結果となる。
すなわち、他の魔力に触れることによって発動するという術式がそれにあたり、魔力のない俺が術式の瓦解装置となっているのだそうだ。
これらは書物による情報と、魔神カリスの考察により明らかになった内容である。
魔法士ではなく、まして怜悧な数学者でもない俺には本質までは理解が及んでいないのだが、重要なのは理屈としての説明がついたという点である。
不可思議な力は、どのような危険や欠点が潜んでいるのかわからないものである。しかし、俺に魔法が効かない理由が現実的にあり得る事象であったことで、その性質を具体的に理解することが可能となるのだ。
結果、この世界での俺は、唯一無二の魔法が効かない存在として、他者では難解な任務をこなすことができる"ザ・ワン"となったのである。
因みに、銃器に装填されている起動用の魔石だが、それぞれに起動式が刻み込まれているため、その働きを成している。これは一般的に利用されている家庭用の魔道具と同じ仕組みとなり、実はそれほど高度な技術ではないそうだ。
銃器は魔法が起動する仕組みを搭載しているため、俺がその魔法をかき消さないための工夫が必要となったのだが、今回のフランジメイスに関しては、内蔵している魔晶石から発するのが魔素だけであることから、そのような工夫をする必要はなかったと言える。
魔素は魔力の素ではあるが、単体では何の術式ももたないものである。また、魔力へ干渉する特性についても、元々魔力がない俺には何の異変も生じない。
これが大した苦労もなく、フランジメイスに魔晶石を取り付けて使用することができる理屈なのである。
おもしろい!早く続きが読みたい!と思っていただければ、広告を挟んだ下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけるとモチベーションが上がります。
よろしくお願いしますm(_ _)m




