表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

第二話 棋匠大附属高校将棋部

「いらっしゃい。」

その人は満面の笑みでこっちを向いてきた。

「え、えっと」

いきなりキョドる。やばいコミュ障だと思われる。陰キャってわけじゃないけど、初めて会った人とは話しにくい。いわゆる人見知りってやつだ。そんなことを心の中で一人で弁明していると、向こうの方から話しかけてきた。

「部活見学でしょ。そこに座って。」

この感じは…部長さんかな? 眼鏡を掛けているから眼鏡先輩ということで。俺は先輩に言われた通り、近くにあった座布団の上に座った。

「えーと、どうしようかな。」

先輩は辺りを一周ぐるっと見回す。

「そこが終わったらどっちかと指して。」と一組の対局を指差した。

「イシカワとアイカワよろしく。」そう言うと、一人の先輩がコクンと頷く。

どっちがイシカワでどっちがアイカワ?

一人は眼鏡を掛けていて、いかにも真面目という感じ。

一方は短髪でシャツははだけており、チャラい感じ。この人ホントに将棋指せるの? いかんいかん。人は見かけで判断してはいけない。

 眼鏡先輩があの感じで命令するっていうことは俺の先輩にあたるのか。うーん、分からないから真面目先輩とチャラ男先輩でいいかな。うん。することもないから、俺は真面目先輩の後ろに立って観戦をした。

パシッ

挿絵(By みてみん)

いかにもな局面で全然互角だと思う。

じばらく将棋から離れてたから最新型は分からないけど、この形はじいちゃんとも指したことがある。

チャラ男先輩は少し首を捻って5九角。これは2六と3七への転換を目指しているのか…

うーん。結構指し手が難しい。具体的には3七もしくは2六への転換のメリットは何か?

手厚く指すなら6八銀とか6八金だけどあんまり好ましい形とは言えない。最初から固めたかったのであれば7八金と指せば銀を引いた形が美しい形のような、

それを踏まえると…7八飛とかかな?

後手の8四歩に対して7八飛とかなら良いタイミングな気がする。

読んだ通り眼鏡先輩は8四歩。 そうそうそれで7八飛で…

パシッ

挿絵(By みてみん)









ふぇ? 36が先じゃいいことなくない?83銀と上がられちゃったら78飛の効果が薄い。

 先輩は少し考えて83銀と上がった。


するとチャラ男先輩が「まぁ、そうだわな。」と言って、強く駒を打ちつけた。

96歩

ここで手待ち!?動揺する俺をよそに眼鏡先輩は72金と上がる。

先手がノータイムで応じると、後手も負けんと返す。指し手の間隔が一気に狭まった。

えぇ、ここはもうちょっと時間を使った方がいい局面なんじゃないでしょうか…

68銀、85歩、77銀、22飛。

後手は飛車の転回を目指しているけど、一気に先手陣が堅くなった気がする。85歩が緩手という感じ。

 チャラ男先輩は頭をポリポリと掻き、「これで充分だろ。」

挿絵(By みてみん)

あぁ、もう意味が分かりませぬ。独創性高すぎ。

これにはさすがの眼鏡先輩も首を傾げ、44角と指した。次に33桂とさして攻撃体制を敷くというわけね。チャラ男先輩もそれを防ぐために68角。以下33桂、37桂、65歩、同歩、同桂、66銀、64歩と進む。

挿絵(By みてみん)

これは無理攻めっぽい、64歩と支えている時点で、先手にかなり分がある。しかも84の傷がある。桂を噛みちぎっても先手がよさそう。もうちょっと手順を考えた方が…そんなことを考えていると、

「一気に捲るか。」

パシッ


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ