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22話『フレデリカ戦線』

 決闘を申し込む。そう告げるフレデリカの目は、真剣だった。

 彼女は強気だ。だが不敵な笑みは浮かべていない。当然である。チームガーベラは、冒険者たちの中でも最高峰に位置する伝説の集団。フレデリカにとっても、ガーベラは完全に、格上の存在なのだ。


「いいぜ」

「『黄土』?」


 承諾したキースを、ヴァンが不審に思う。


「景気づけだ。一年も休んでたんだし、少しくらい暴れても問題ねぇだろ」

「でも、途中で龍がやってきたら厄介だよ」

「逃げるだけなら楽勝だろ。それに、俺たちがガーベラだと知った上で決闘を挑まれるなんて、滅多にないぜ? 冒険で一番優先するべきことは、面白さだ」


 キースが告げる。その言葉にメンバーの反応は半々だった。

 ヴァンとサリーは溜息を零す。エミリィとジンは楽しそうに笑い声を零した。

 そして俺は、後者に混ざった。


 ――真理だ。


 間違い無い。俺たちは、確たる何かを求めて冒険しているわけではないのだから。

 今回の探索だって、一応は龍が守護していると思しきモノを見ることが目的だが、それはあくまで今回に限った目的だ。俺たちが冒険をしている理由は、冒険者でしか手に入らないものを得るため。では何故それを求めているかと言うと――きっと皆、現状に満足していないからだ。


「決闘くらい受けてやろうぜ。これもまた冒険ってやつだ」


 物は言いよう、と吐き捨てられればそれまでの話だが、それでも俺はキースの意見に全面的に賛成だった。迷宮の探索が冒険なら、そのための訓練や情報収集も冒険の一部である。目の前に立ち塞がる壁も、冒険として楽しめばいい。

 死の危険性よりも、浪漫や刺激といった漠然としたものを優先するのが冒険者だ。

 損得勘定に五月蠅いようでは、冒険者は務まらない。


「では、受けて頂けると?」

「ああ」

「感謝致します」


 小さく礼をしたフレデリカが、腰の帯から杖を取り出した。

 対し、キースも両手を軽く回し、準備運動を始める。


「相手は俺でいいな」

「ええ。リーダーが相手をしてくれるとは、光栄ですわね」

「生憎だが、リーダーは俺じゃねぇよ」

「そうなんですの?」

「ああ。……ま、そいつを公表するのは、もうちょい後になるな」


 そう言って、キースは右の拳を、左の掌で受け止める。


「いつでもいいぜ。――来いよ」


 相手を見下すような態度に、フレデリカが不敵な笑みを浮かべた。

 順当に考えれば、勝利するのはやはり、ガーベラの一員であるキースだろう。だが俺はフレデリカの優れた実力を知っている。彼女はキースと同じく、魔力の掌握を習得している冒険者だ。


 フレデリカの実力は知っているが、キースの実力が未知数だ。火龍と戦っている時は、キースもヴァンも、正体を俺に隠していたため、恐らく全力は出していないだろう。ガーベラの実力を、じっくり確かめられるいい機会だ。二人から距離を取り、俺は観戦に徹した。


「掌握――《紅炎砲プロミネンス・キャノン》ッ!」


 フレデリカが掲げる杖の先端から、巨大な炎が放たれた。

 対し、キースは右足で強く地面を踏みつける。


「《土壁アース・ウォール》ッ!」


 隆起した土が壁となり、炎を防ぐ。

 だが《土壁》は解放位階の魔術。掌握位階の《紅炎砲》は防ぎきれない。しかしそれは、見方によっては必要最小限の防御とも取れた。


「掌握――《強靱レイジング》!」


 壁によって炎を防ぐと同時、キースが黄土色の魔力を全身に纏う。

 掌握位階、無属性の魔術――《強靱》。その効果は身体能力を向上させるというシンプルなものだが、汎用性が広く、特に接近戦では絶大な効果を発揮する。

 薄人である俺は無属性の魔術しか使えない。俺が真っ先に会得するべき魔術は、《強靱》だ。

 キースは一瞬の間隙を無駄にすることなく、人外の動きで炎を避けた。そのままフレデリカの後方へ回り込み、たった一歩で肉薄してみせる。


「《炎旋風フレアゲイル》ッ!」


 フレデリカが杖を横薙ぎに振るうと、炎の竜巻が現われた。

 森を焼き尽くすかのような火力に、キースは後退を余儀なくされる。


「……凄い」


 思わず、呟いた。

 学院では見られない、どちらも高度な魔術を巧みに使いこなしている。しかも、どちらもまだ底を見せていない。

 キースとフレデリカは対峙したまま、相手の様子を探る。


「挑戦者が様子見してんじゃねぇよ。さっさと次の手を出してみな」


 指を折り曲げ、掛かってこいと挑発するキース。


「……これは、様子見ではなく警戒ですわ」


 フレデリカもまた笑みを浮かべて答えてみせるが、額からは冷や汗が垂れていた。

 俺の目には、二人が拮抗しているように見えたが、フレデリカは別の捉え方をしているのかもしれない。今の彼女の表情は、丁度、火龍を相手にした時の――明らかに格上の敵を目の当たりにした時のものと、全く同じだった。


「悪いが、ちんたらするのは趣味じゃねぇ。来ないなら、こっちから行くぜ」


 そう言って、キースが大きく右腕を振りかぶる。

 太く逞しい腕は、足元の地面を強く突いた。


「《土錬槍グランゼオ・ランス》ッ!!」


 以前、キースが火龍に対して放った魔術だ。あの時は、地面から無数の槍が突き出し、火龍の鱗を穿った。だが今、目の前で戦っているのは、あの時のキースではなく、ガーベラの『黄土』である。


「なっ!?」


 フレデリカが驚愕する。足元から突き出したのは、槍にしてはあまりにも太い――無数の杭だった。魔術は込めた魔力の量によって、威力が上下することもあるが、槍と杭ではあまりに質が違う。キースの能力の高さが垣間見えた。


「くっ――《強靱レイジング》!」

「ちょこまかと逃げている場合かよッ!」


 身体能力を強化し、無数の杭を避けるフレデリカ。だがキースの魔術は、ただ杭を生み出すだけでなく、更にその杭を矢の如く射出した。足元から放たれる無数の杭は、さながら森を一掃する嵐の如く、木々を薙ぎ倒し、砂を撒き散らし、フレデリカへと迫る。

 大地に亀裂が走り、轟音が響いた。


「……終わったかな?」


 隣で観戦するヴァンが呟く。

 直後、砂塵の中から赤い煌めきが見えた。


「《紅炎砲プロミネンス・キャノン》ッ!」

「おっと」


 倒木や砂塵によって視界が限られる中、真紅の砲撃は寸分違わずキース目掛けて放たれた。キースは攻撃の手を止め、砲撃を軽やかに避ける。


「やるな。まあ手応えは半々だったが」

「……こっちは死ぬかと思いましたわ」


 砂塵の中から現われたフレデリカは、既に満身創痍に近い様子だった。真紅の衣服は所々破れており、きめ細かな肌も傷だらけ。縦に巻かれていた金色の髪も、飛び散る枝葉によって殆ど原型を失っていた。


「なら次は死ぬかもな。――ガーベラを相手にするってのは、そういうことだぜ」


 はっきりと告げるキースに、フレデリカは一瞬、明らかに鼻白んだ。

 すぐに彼女は不敵な笑みを浮かべる。何か、意を決したようだ。


「出し渋っている場合じゃ、ありませんわね」


 そう言って、フレデリカは杖を構える。


羅刹炎山らせつえんざんの精霊、羅灼らしゃくよ。契約に応じ、力の一端を示したまえ」


 紡がれる言葉には聞き覚えがある。火龍を退けたあの魔術だ。

 急激に気温が上昇した。フレデリカの周辺が炎に包まれ、陽炎が立ちこめる。


精霊術アニムス――《煉獄の炎餓兵プルガトリウム・ラルウァ・ベラトール》」


 陽炎たちが、巨大な兵の形を取る。火龍の時は余裕が無かったため、詳細を観察できなかったが、よく見れば兵たちは全て骸骨だった。巨大な骸骨が、甲冑を身に纏い、武器を手に取り、集団で襲い掛かるのだ。それはどこか――悍ましい、人ならざる力を感じる。


「精霊術か……やるじゃねぇか。既に契約してるとはな」

「これでも長い間、冒険者をやっておりますので」


 先程まで余裕を見せていたキースが、骸骨の兵を目の当たりにして警戒を露わにした。


「精霊術……?」


 睨み合う二人を観察しながら、俺は小さく呟いた。

 隣のヴァンが答えてくれる。


「精霊と契約することで手に入る、特殊な神秘のことだよ」

「魔術じゃないのか?」

「違う。全くの別物だ」


 ヴァンは、更に詳しく説明する。


「精霊は、迷宮の奥地など、本来、人が辿り着けないような特殊な場所に存在する生き物だ。生き物というよりは概念に近いかな。一説では、神の分身とも言われている。……その精霊から力を借りることで使用できるのが、精霊術という名の神秘だ」


 聞いたことが無い。

 驚く俺に、ヴァンは苦笑する。


「君が知らないのも無理はない。これは学院では勿論、冒険者の中でも一部のみが知る事実だ」

「どうして」

「言っただろ? 精霊は特殊な地にしか存在しない。つまり精霊術を使える人間は、その特殊な地に辿り着ける、極僅かな者だけだ。逆に言えば、精霊術が使えるということは、冒険者として一流である証拠とも言える。精霊がいるのは、いずれも簡単に辿り着ける場所ではないからね」


 ならば、やはり――フレデリカは優秀な冒険者ということだ。

 だが、ヴァンも、キースも、彼女の精霊術に感心こそすれど、さほど驚いた様子は見せていない。


「ガーベラの皆は、精霊術を使えるのか?」

「まあね。ほぼ全員、契約を交わしているよ」


 ほぼ・・全員、というのは気になったが、いずれにせよ規格外には違いない。

 目標の高さに苦笑いして、俺は再び観戦に集中した。

 キースがフレデリカの精霊術を、冷静に分析している。


「火の精霊か……迷宮の産物じゃねぇな。火山……西大陸の、ラブニエル山脈の精霊か?」

「ご名答。流石ですわね、わたくしの精霊をこうも早く見抜くとは」

「あの山脈には俺たちも行ったことがある。そいつは火口付近にいた精霊だろ? 中々個性が強かったことは覚えているが……残念なことに、俺たちとは波長が合わなくてな。契約を交わすことはできなかった」

「成る程。それは惜しいことをしましたね」


 ゆっくりと杖をキースに向け、フレデリカが告げる。


「精霊『羅灼』は、非常に強力でしてよ」


 巨大な兵が、一丸となってキースを襲う。

 先程の攻防で地面に散った木々の枝葉を悉く燃やしながら、兵たちはキースを囲った。咄嗟に《強靱》を発動したキースは、兵たちから逃れつつ、時折《土壁》で時間を稼いでいる。フレデリカの精霊術に、キースは防戦一方となった。

 炎で構成された骸骨たちが蠢く光景は、さながら地獄絵図だ。

 世にも恐ろしい光景を目の当たりにして、俺は恐怖を覚えた。


「……精霊って、本体もあんな感じなのか?」

「いや、本体はあんなものじゃないよ。精霊術は基本的に、精霊の一部を、借り受けて行使する力だからね」

「あれで一部か……」

「人と精霊が契約を交わすには、双方の波長が重要になってくる。まあ、端的に言えば相性だね。これが良ければ契約を交わせるんだけど、大抵はどれだけ相性が良くても、精霊の一部しか借りられない。でも極稀に、精霊本体と契約を交わせることもあるらしい」

「精霊本体と?」

「そう。僕たちガーベラでも、本体と契約を交わした者はいない」


 ヴァンが説明を締め括り、観戦に意識を戻す。

 丁度、キースが炎の兵たちに追い詰められたところだった。


「仕方ねぇ。見せてやるよ」


 そう言って、キースは両手の拳を胸元で打ち付ける。


岩窟塔がんくつとうの精霊、破禅はぜんよ。契約に応じ、力の一端を示せ」


 キースが、契約を交わした精霊へ言葉を紡ぐ。

 合わせた拳の中心から、黄土色の光が煌めいた。光は少しずつ、左右の腕に紋様を描くかのように伸び、肘に達したところで輝きを増す。


精霊術アニムス――《双々たる塔チュアム・ラブト・ジグラート》」


 キースの両腕の、肘から下が岩のような籠手に包まれた。

 篭手には不思議な紋様が刻まれており、淡く発光している。『黄土』の名に相応しい、土塊のような籠手だが、大胆で無骨なも見た目からは力強い威圧感を覚えた。キースが籠手の調子を確かめるかのように拳を握り締める。拳を中心に、大気が揺らいだ。


「行くぜ」


 迫る兵に、キースは短く宣言した。

 骸骨兵が巨大なサーベルを振り下ろす。キースは、接近する刀身に、右拳を打ち付けた。


「おらあああッ!!」


 裂帛の気合と共に、キースの拳がサーベルを砕く。

 その衝撃は、骸骨兵本体にも届き、甲冑ごと粉砕した。


「そんなっ!?」


 驚愕を露わにしたフレデリカは、瞬時に冷静な思考を取り戻し、杖を左右に振る。分散していた兵を、自身の前に引き戻し、キースの接近を防ぐ壁とした。

 だが、キースの猛攻は止まらない。骸骨の兵を一撃で粉砕し続ける。


「そらそら! 骨如きで、俺を止められると思うなよッ!」

「調子に――乗るなッ!」


 弓を携えた骸骨の兵が、矢を放つ。

 燃え盛る矢を、キースは足を止め、的確に防いだ。次の瞬間、キースの周りに大剣を抱えた四体の兵が集まっていた。兵たちが一斉に、剣を振りかぶる。


「甘いぜ」


 キースが脇を締め、小刻みに動き出す。

 拳のリーチでは、四体の兵を一撃で倒すのは不可能だ。しかし、キースは兵に直接拳を当てることなく、まるで素振りをするかのように兵目掛けて拳を振るった。

 拳は骸骨たちに触れていない。だが、兵たちはまるで殴られたかのように、大きく体勢を崩す。


「なっ、触れもせずに――!?」


 腕は触れていなかった筈だが、兵は崩れ落ちた。

 兵の一体が、キースの足を止めるために駆け出す。そして槍を突き出した。

 キースは不敵な笑みを浮かべ、槍の穂先が自らの身体に触れる――よりも遙かに早いタイミングで、拳を突き出した。


「そらよッ!」


 拳は直接触れていない。けれど、槍を持った兵は胴体を何かに撃ち抜かれていた。

 不可思議な現象だ。だが、状況から何が起きたのかは推測できる。


「……直線上に、衝撃が飛んでいる?」

「お、良く分かったね。正解だ」


 零した呟きに、ヴァンが称賛の声を返す。

 キースの拳からは、動きに合わせて直線上の衝撃が放たれているのだ。真っ直ぐ拳を突き出せば、拳の延長線上に衝撃が飛ぶ。その威力は、恐らく直接、殴打するのと変わらない。


 兵たちは、キースに触れることすら出来なくなった。

 手札を失ったフレデリカに、キースは目にも留らぬ速さで肉薄する。


「勝負あり、だな」


 フレデリカに拳を突きつけ、キースは言った。


「……そう、ですわね。参りましたわ」


 悔しそうに唇を噛みながら、フレデリカは骸骨の兵を消す。


「諦めな。てめぇじゃ、ガーベラには入れねぇよ」


 キースが、はっきりと告げる。

 フレデリカは伏し目がちになり、暫く沈黙した。やがて、小さく声を発す。


「神杖というものを、知っていますか?」

「……確か、神が生み出したと言われる武器の一つだな。名前は聞いたことあるが」

「もし神杖を見つけたら、わたくしに連絡して欲しいのです。本当は、わたくしが直接、見つけたいのですが……」

「分かった。ま、そのくらいなら協力してやるよ」

「感謝いたします」


 一先ず、フレデリカは自身の中で落しどころを見つけたらしい。

 敗北による悔しさから切り替えるために、フレデリカは深く呼気を発す。

 そんな彼女の姿を見ていると、俺は不安を抱かずにはいられなかった。


 ――本当に、俺がガーベラに入ってもいいんだろうか?


 フレデリカの腕は確かなものだ。掌握位階に到達しているのみならず、冒険者の中でも一部しか知らないと言われている、精霊術も会得している。ガーベラのメンバーたちも、フレデリカの実力は認めているようだった。

 そんな彼女を押しのけて、俺はガーベラの仲間に迎え入れられた。

 本当に、いいのか? 正直、俺は……フレデリカを超えられる自信がない。サイハテを目指すことがチームガーベラに加入するための条件だというなら、フレデリカにそうして貰うよう説得すればいいだけだ。最初は労力が掛かるかもしれないが、後のことを考えると彼女の方が有望に思える。


「自信持ちなよ」


 顔を伏せている俺に、ヴァンが言った。


「僕らが選んだのは君だ。彼女ではない。君には、君にしか出来ないことがある。今は分からないかもしれないけれど……いずれ、分かる筈だ」


 こちらの心情を見透かした様子でヴァンが言った。

 今は――今はただ、頷くしかない。

 ガーベラに選ばれたという誇りを守るためにも、努力を重ねるしかない。

 形は何であれ、俺はいずれフレデリカを超えなくてはならない。ガーベラの皆が、俺を選んだことに後悔しないように。


「で、てめぇはこのまま火龍を倒しに行くのか?」

「ええ。……足手纏いにならないことは、証明できたと自負していますが」

「まあ、そうだな。てめぇなら問題ねぇだろ」


 服についた汚れをはたき落とし、不敵な笑みを浮かべるフレデリカに、キースも了承の意を示した。


「いずれ来るであろうシオンのためにも、龍は処理しておきたいと思います。流石に、薄人と火龍では、蟻と巨象ですから」

「また過保護な。……その少年がここに来るとは限らねぇぞ」

「いいえ、必ず来ますわ。なにせ彼は、本気でサイハテに行きたいと宣う男ですもの」


 フレデリカの発す一言に、ガーベラのメンバーたち全員が驚いた様子を見せた。

 仮面の内側では、例外なく呆然としているだろう。


 ――気づいていたのか。


 フレデリカに笑われたため、俺はサイハテへ行くという夢を、冗談であると誤魔化した筈だが――彼女にその嘘は通用していなかったらしい。


「シオンのことです。未探索領域があると知れば、きっと身の程を弁えずに駆けつけるに違いありませんわ」


 良く分かっている。思わず目を逸らしたくなるくらいに。

 キースが肩を揺らし、必死に笑いを堪えながら頷いた。


「それじゃ、一緒に龍退治といこうじゃねぇか。……向こうも、その気みてぇだしな」


 キースとフレデリカが、同時に一方向へ顔を向ける。

 決闘の余波は激しかった。この領域の主も、侵入者の存在に気づいたのだろう。


 地面を揺るがす重たい足音が、ゆっくりと迫っていた。


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