第4話 おや、こんな時間に誰だろう……
時計の短針が10のところを指した。
そろそろ二時間目が始まる頃だろうか。
俺はいま家のベッドで寝ている。
平日の昼間にベッドで寝ている理由なんてあんまりない。
そう、俺は風邪をひいたのだ。
……順を追って説明しよう。
「あなたの事が、好きってこと」
「だから、私と、」
「付き合って、くれませんか?」
付き合って?つまり、
「それは、告白ってこと?」
彼女は顔を赤くして頷いた。
……なんて答えればいいのか全く分からない。
正直、こんな状況でかっこいい言葉を言える奴なんていないと思う。でも、何か言わなくては。俺の中の何かが叫んでる。
そう、答えないと、
「俺みたいな、俺みたいなカッコ悪いやつを好きになってくれるなんて、思ってもなかった」
「や、矢凪くんは!カッコ悪くなんか、ない……」
口に出てた。
でも、今ので俺の腹は決まった。
ちゃんと答えなくちゃな。
折角顔を真っ赤にしてまで告白してくれたんだから。
「こちらこそ、よろしく」
その後、俺達はメールアドレスを交換し、帰路についた。
彼女は真っ直ぐ帰ったらしいが(当然だ)、俺は告白という実感が後から湧いてきて、何故か全速力で走りたくなった。そのまま土手で足を滑らせ、川に落ちた。
別に泳げない訳ではなかったのですぐに上がることは出来たが、川に落ちたのだ。当然俺はびしょ濡れのまま帰った。その時一緒に頭も冷えた。
家に着いた後、すぐにシャワーを浴びて着替えたのだが、朝起きたら身体がだるかった。37.8度だった。
……メールが来た。もちろん雅からだ。
見たくねー……。
「なんで休んだの」
素直に答えるべきだろうか……
ピロン
うおっ、またきた。
「昨日答えたのは嘘だったの?どうせ私のことをからかっているんでしょう?そんな事だってすぐに分かったわ。ちょっと待っててね。今すぐ矢凪くんを殺して私も死ぬわ。」
俺の彼女もしかして病んでる?
つか文字打つの早。
と、とりあえず返信しないと。
ピロン
えっまたっ?
「矢凪くんの家の場所教えて」
……前から思ってたけどやっぱちょっと抜けてるな。
「別にお前のことが嫌いで休んだんじゃないんだ。風邪を引いちゃったんだよ。多分明日は行けると思うから。ほんとにごめん」
「分かった。でも、明日来なかったらほんとに殺すからね。」
こわー……
ま、まあ大丈夫だろう。
これからもう一回寝るか。
雅のために全力で治さなくちゃな。
あと、死にたくねーしな……