第3話 本編スタート
荷物をまとめ、俊介に声をかけてから教室を出る。
……1歩出たところで、止まる。
後ろに気配。振り返る。
あれ?誰もいない?
……今度は下に気配。ゆっくりと視線を下ろすと、そこに居たのは
「……」
黒髪美少女こと、雅さんでした。
「……俺思ったんだけどさ、同じクラスなんだからわざわざ呼び出す必要無いよね?」
「……」
おや?顔が赤いぞ?どうやら誤ちに気づいて恥ずかしがっているようです。
これが俊介ならば全力でイジり倒すところだが、相手は雅だ。流石にそんなことは出来ない。
「あのー……」
「さ、先行ってる!」
少しだけ待ってから行くか……。
角を曲がる。五分ほど遅れて到着する。
「……では、改めて。用件ってなに?」
「そんなの……一つしかない……」
やっぱり誤解してらっしゃる。
「あー、あの時笑ったのは俺じゃないんだけど」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………?」
え?
「笑ったって……何のこと?」
「え?いや、朝のアレだよ。教室入った途端お前が転んだこと!あん時笑ったのは俺じゃないって言いたかったんだけど……」
「……そんな事、……き、気にしてない」
きっと気にしてんな、これ。
「じゃあ他に心当たりは無いんだけど……」
「そんなの……なくて当然……」
「私が言いたかったのは、」
「……やっぱりちょっと待って」
「……」
どうすりゃいいの。俺。逃げたいなー。逃げちゃダメだよなー。そん時は確実に殺される気がするしなー。
彼女は大きく深呼吸をし、再びこちらに向き直る。
「私が言いたかったのは、」
私が言いたいのは、
「あなたの事が、好きってこと。」