第2話 外堀埋め作戦
時間は待ってはくれず、もう昼休みである。さて、
「俊介君?一緒に食堂に行こうか。少し話したいことがあるんだ」
「お、オレ、今日は購買の気分なんだー!」
「じゃあ俺も購買にしよう。さて、話したいことが」
「や、やっぱ学食にしようかなー!」
「俊介くん?」
「は、はい」
「来てくれるよね?」
「……はい」
この学校の学食はそこそこ美味しいと評判である。そして案外種類も多いため、いつもそれなりに混んでいる。
俺はカツカレーを頼み、俊介はラーメンを頼んだ。
「……お前ラーメン好きだよな」
「おう!好きだぜ!逆に、嫌いなお前の気が知れねぇよ」
「あの脂っこいのがなんか……駄目なんだよな」
「そういうお前はカツカレーばっか食ってるよな。」
「悪いか?」
「いや、カレーなんてみんな一緒じゃね?」
「……はぁ」
「おいなんだその冷たい目!」
「ほら飯来たぞ」
「話を流そうとすんな!」
俺達はあまり話を聞かれにくい端の方の席に座った。別に誰かに聞かれて減る様な話ではないが、聞かれたくない話であることに変わりは無かった。
「でだ。俺はお前の尻拭いなんてゴメンなんだ」
「ああ」
「そんで呼ばれた俺は行かなきゃいけない」
「うん」
「だけど主犯はお前だ」
「……はい」
「お前も来るよな?」
「やだ」
「……」
「……」
イラッ
「テメェぶん殴るぞ!?」
「だって怖いんだもん!」
「キメェんだよ!いいから来やがれ!」
「やだよ!つか呼ばれたのはお前じゃん!オレじゃねーしー!」
「いい加減にしろ!俺だって一人で行きたくねーよ!だからお前も……」
その時テーブルに小さな影が差した。そこに居たのは、
「……」
随分と冷たい目をした雅だった。彼女は俊介を、汚物でも見ているかの様な目をして見下していた。
まずいッ!聞かれてたかッ!?
「……青髪のチャラ男は、……呼んでない。」
「「……」」
え?
訳が分からず俺達が狼狽えていると、彼女は今度はこちらに向いた。
「……」
だが何も話さず、やはり少しだけ頬を赤らめ、すぐにどこかへ行ってしまった。
「……」
「……ほ、ほらな言ったろ!?オレは呼ばれてねーんだって!」
俺だけ?何故だ?からかったのは俊介だぞ?理不尽すぎやしないか?はっ!もしかして勘違いをしているのか!?
ふと目線を下げると、カツカレーは冷めきってしまっていた。
なんかあいつの目線に似てんな……