表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理想の彼女なんているわけねーだろ!  作者: 八岐大蛇
第1章 へるぷみー
2/7

第1話 物語の始まりとフラグの始まり

 キーン コーン カーン コーン

 チャイムの音が鳴る。


 始業式も終わり、今日から高校2年。

 なんだか実感が湧かない。下級生が入学すればまた変わるのかもしれないが、クラス替えがある、くらいにしか思えない。


 タッタッタッ

 足音。

 後ろを振り返ると、居たのは俊介(しゅんすけ)だった。

「おーい、(けい)

「なんだ、俊介か」

「何だってなんだよ。地味に傷付いたぞ」

「は?知らねーよ」

「初日から何キレてんだよ」

「あ?キレてねーよ。」

「いやキレてんだろ。」

 俊介とは中学からの付き合いで、一年の夏休みに髪を染めてきたのは今でもしっかりと覚えている。そう、こいつは気でも狂ったのか水色に染めたのだ。学校に来た直後に指導室に連れていかれ、次の日髪の色は黒に戻っていた。


 体育館を出る。渡り廊下を通り、2-Cの教室へ。

「お前もしかして同じクラス?」

「ああ、そうだよ。喜べ!」

「嫌に決まってんだろ」

「席近くなら話せんだけどな」

「無理だろ。お前は佐倉(さくら)俊介(しゅんすけ)で俺は矢凪圭(やなぎけい)、全然違うだろ」

「そっか。そうだったな。ハハハうっかり忘れてしまっていたよ!」

「なんだそのキャラ」


 教室に着く。

 もう既にほとんどの生徒は来ているようだった。

「そうだ!お前アレ知ってるか!1-Aだった(みやび)小春って女子!」

「あー!知ってる。可愛くて大人しいけどなんか地味に目立ってた奴」

「そうそう!アイツ同じクラスなんだってよ!俺アイツ苦手なんだよな~」

「そうか?そうでもないと思うけど」

「あ!今来た!アイツ!」


  長い黒髪の少女が教室に入ってくる。年齢よりも少しばかり幼く見えるが、顔は整っている。美少女と言っても差し支え無いくらいだ。


「ほら、なんか変なオーラ纏ってないか?」

「気のせいだろ」


 ズルッ「「あ」」

 ビタンッ!


「……盛大に転んだな」

「プッ」


 ギロッ

 そんな音が聴こえてきそうなほど鋭い目線をこちらに向けてくる。


「ヒッ」

「いや怯えすぎだろ。笑ったのはお前だろ?」

「い、いや!アレは人殺す目してるって!」


 立ち上がり、こちらに向かってスタスタと歩き、近づいてくる。


「うわっ!こっち来た!」

「あーあ。お前死んだな」


 ピタッ


「ヒイッ!殺さないでー!」


 だが、止まったのは俺の前。椅子に座っている俺が少し見上げる形になる。


「え?俺?」


 コクリ

 僅かに頬を赤く染め、彼女は頷く。


「ほ、ほ、放課後、た、た、体育館の裏に来て」


 それだけ言うと、再び彼女は歩き出し、自分の席へと歩き始めた。


「……」

「……」

「……え?」

「……身代わりになってくれたんだなありがとう!それじゃあ後は頑張れよ!」

「あ、おい!お前も席に戻るんじゃねぇ!」


 だがその時、丁度ドアの開く音がする。

「おーい、お前ら席につけー」

「タイミング良すぎかよチクショウ!」

「はーい矢凪うるさーい」

「クソッ……、アイツめ……」


 本当にどうすりゃいいんだこれ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ