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クエストを受けてみた



 あの後ミーナさんから格安の宿を聞いたり、冒険者御用達の酒場など聞いた。


 そして俺達は今、武器や防具・道具などを売っている建物に来ている。


 もちろんこの場所もミーナさんに聞いた場所だ。


 先に拠点となる場所は決めてきた。

一応一ヶ月分の賃金を先に払ったので、住む場所はこれて確保できた。



 あとは明日受ける予定のクエストに備えて、色々準備を整えに来た。



『エド!見てみろよ

こっちに凄く強そうな剣が売ってる!あっ、あっちには鎧も!』

『お前は子供か…

他の客もいるんだ。少しは静かにできないか。』




 エドの言ってる事はわかる…

わかるけど目の前に並ぶ道具を見て、興奮するなってのは無理な話だ。


 今まで貯めたお金のほとんどをさっきの宿に払ったので、そこまで良い物は買えない。

 なのでここはしっかり選ばないとな…。


 でも…目移りする!


 こっちの剣は…魔法の付加?がしてあって、あっちのは…なんか強そう!


 鎧も火に強いとか水に強いとか格好良い!



 こんな感じで店内を彷徨いていると




『おい!お前の残金でその辺の物は買えないだろ。そもそも使いこなせるとも思えないぞ。

とりあえず…この辺りはどうだ?』





 とエドが渡してきたのは鉄で作られた剣と盾。


 悪くはないんだけど地味なんだよな…

でも確かにここで全財産使うわけにもいかないので鉄の胸当ても追加で買った。

 エドを見ると、木で作られ先端に赤い宝石が埋め込まれている杖と、真っ黒な身の丈ほどあるマントを購入したようだ。


 あと食料と傷薬を買い、この日は宿に戻り眠った。




 そして次の日の朝俺達は、再び協会に着ていた。

 昨日壁にクエストが貼り出されてるとミーナさんが説明してくれたけど…




【求!ギルド首都防衛団では一緒に街を守る同士を随時募集中!】

【ギルド ミーアキャットは猫大好き冒険大好きな人を募集してるにゃ♪】




 え~と…ギルドって確かミーナさんか後日説明してくれるやつだよな…?


 胡散臭いものとしか現時点で思えないんだけど…


 と考えていると




『ジャックそっちじゃないみたいだぞ。そこはギルド員募集掲示板と書いてあるだろ。

クエストは…反対の壁らしいな』



 本当だ。上に大きく書いてあったな。


 向こうの壁が…クエスト掲示板で




【旅の護衛頼みます。定員3名。お一人一日一万G+食事付き】




 どこまで行くんだろ…

他には




【薬草の採取お願いします。一日六千G。詳細は受付まで】

【急募!オーガが巣を作ろうと集まっています!数が増える前に駆逐してもらえませんか!一匹一万G+素材等は全てお持ち帰り下さい】




 採取は面倒臭いしな…

討伐もオーガは無理だな。こんなの俺達が駆逐される姿しか想像できない…。


 何か他に俺達でも出来そうな…あった!


 俺は壁に貼り付けられている一つのクエストの前にエドを呼んだ。




【街を出て南の街道付近でゴブリンを数匹見かけました。討伐お願いします。一匹5千G】




『なぁ、これなんか良いんじゃないかな?』




 エドはクエスト内容を見て少し考えた様子で




『確かに討伐系でゴブリン以下のクエストを探す方が難しいが…数が曖昧な部分がな。』




 でちゃったよ、エドの心配性が…




『なに言ってんだよ。こんなの正確な数がわかった時点で討伐完了してるだろう。それに数匹だろ?数十や数百なら絶対無理だけど数匹なら大丈夫だって!』



 と普段より少しだけ強く言うと、再び何かを考えて



『確かに…お前の言う通りかもな。ゴブリン相手に尻込みしてるようじゃこの先何もできないしな。たまにはお前の言う通り行動してみるか。』

『そうこなくっちゃ!』




 エドのお許し?も出たので、俺はクエストの紙を剥がし受付のミーナさんの所へ向かった




『ジャックさんおはようございます。早速討伐クエストですか?お二人とも頑張って下さいね。ただし…初めてのクエストですので無理だと思ったら逃げることも必要ですからね。』




 と受けとる際に言われたので俺達は無言で頷き冒険者協会を後にした。



 街を南に出て、辺りを見渡しながら街道を進んだ。


 歩くこと数十分、確かに居た!


 街道から少し離れているが三匹のゴブリンを俺達は確認できた。



 岩影に俺達は身を隠しながらゴブリンに近づく。


 身を屈め、右手には剣を左手には盾を握り締めて少しずつ距離を詰めた。


 ただ何故だろう…体が重い。足が前に中々進まないし呼吸も乱れている。

 相手との距離が縮まっていくに連れて体の違和感が強くなっていくようだ。

 そして残りの距離も僅かになり改めて右手の剣を強く握った。


 あとは敵に向かって走り倒すだけだと、意を決意し体を起こそうとしたとき、突如背後から




『クククッ。』




 とエドの笑い声が。


 俺は思わず振り返りエドを見ると




『悪い悪い。目の前でガチガチに緊張し、今にも泣きそうな顔で歩を進めるお前を見てたら思わずな。

さて、一先ず深呼吸でもしたらどうだ?』




 俺は緊張していたのか…確かに街に出る直前まではワクワクし、エドに冗談混じりで話しかけていた気がする。


 でもそこから先、街からここまでの記憶が曖昧で多分終始無言だったのだろう。


 そして剣を握った手の爪からは血が滲んでいる。 どれだけ力を入れたらこうなるんだ…


 あのまま突っ込んでいたら確実に殺されていたな…


 俺は一度剣を鞘に納め深く深呼吸をした。


 肩を数回動かし再び鞘から剣を抜き




『ごめん、もう大丈夫! さぁ行こう!』




 とエドの方を向き伝えると、口元を緩め




『フッ、かまわんさ。

それよりしっかりしてくれよ兄弟。』




 俺は村を出てから何度こいつに助けられたんだろう。


 ここまでスムーズにこれたのもエドのおかげだな。


 俺は視線を前に戻し、そのまま背後のエドに




『色々ありがとう。

これからも宜しく頼むよ…兄弟。』




 と伝え前に走り出した。


 走る直前に、足元に落ちていた石を拾いゴブリン達の後方に投げたのだ。


 石が落ちた方に意識が向いたこのタイミングでまずは一匹仕留める!



 あと少しで剣が届く距離まで着いたとき後方から




『ファイヤーボルト!っと。』





 声の直後…目の前に居たゴブリンの一匹が炎に包まれた。


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