石碑
『しかし祈りってのはよくわからないけど、この石碑だけは何回見てもスゲエよな~。』
『まぁな。これのおかげで村には魔物が入ってこないし近くにすら寄り付けないからな。』
ソリア村の四方を囲むように建てられている四角形の石柱。
四つの面すべてに文字のような模様が刻まれている。
誰が作ったのかすらわからなく、言い伝えでは神様が人と魔物が住む場所の境界線として使っていたとかなんとか。
だがその境目って場所も今となってはわからなく、各地で発見された石碑を使い町や村ができ、そこに人だけが住む場所を築いてる。
まぁそれを考えたら神様の考え通り有効活用してるんじゃないかな。
魔物は寄り付かないし、何百年経とうがまるで今作ったと言わんばかりの光沢と、
いかなる手段を用いても傷一つつけれないらしい。
これは神様からの贈り物だと言われれば、信じる人が多いのも自然と頷ける。
ちなみにこの村は小さな村のため四方に4つ石碑をたてるだけで魔物は近寄ってこないが、規模が大きくなればなるほど石碑の数は増えるらしい。
『待たせたな。行こうか。』
歩くこと数十分
森の入り口付近まで到着した。
別に森に入り口なんてないんだけど、村からまっすぐ行った場所が丁度人が通りやすい道みたいになっているので
みんな勝手に入り口と呼んでいるだけだ。
『ここからは何があるかわからんぞ!油断するんじゃないぞ!』
まだ言うか…
確かに石碑の加護は500メートル程と言われている。
この森は村から1キロ程離れているので魔物が出ないかと言われれば…
出るかもしれない。
ただ本当に出る危険があるならさすがに俺も来ないし(多分ね…)
まず大人達が行かせない。それぐらい安全なはずの森なのにこいつと来たら毎回毎回…
将来禿げるぞ…
『気をつけてますよ~。あ!?あそこにゴタンの実が!』
俺は木によじ登り実を二つもぎ取ると一つをエドに向かって投げた。
よいしょっと。
気から降り、手に持ったゴタンの実をかじる。
ん~、甘くてうまい。
ゴタンの実は直径15センチほどで丸く緑色の果実だ。
年中収穫でき値段も安く俺もよく口にする。
そのままゴタンの実をかじりつつ落ちてた木の枝を手にし俺達は森を散策した。
途中他にも果実や薬草などがあったももの、
今日はお使いで来てはいないのでとりあえず無視
持って帰ればお駄賃ぐらいは貰えるかな?
とか一瞬考えたけど今日はいいや
特に目的があるわけでもなく目にする小動物達を追いかけていると
あれ?ちょっと奥まで来すぎたかもしれない…。
奥に進むにつれ木が鬱蒼とおおい茂っていて、
そのおかげで森の中心に近づくにつれ
太陽が遮断され暗くなっている。
普段はもっと陽が差してる場所で遊んでいるので
薄暗い今の場所が少し薄気味悪い。
さて…村の方に戻らないとな。
そう思い歩き始めると
『お~い、ここにいたのか。』
息をきらせたエドが走ってきた。
どうやら急に居なくなった俺を心配し探し回っていたようだ。
『急に居なくなるんじゃない!それもこんなに奥まで来るなんて!さぁそろそろ村に戻るぞ』
確かに森にきて走り回っているうちに陽も沈みかけているようだ。
ここには雑用の気分転換に着たつもりだったのに十分遊んだな。