プロローグ
『どう?反応はあった?』『あぁ。数は7匹程度だな。…位置は奥に5匹…少し離れて2匹だな』
『そう…全部群れていてくれれば楽だったのにな~。』
『まぁそう言うな。行くぞ。』
エースの探知スキルを頼りに森の奥に。
森の中心地…木々で日の光が遮られた奥に小さな横穴を見つけた。
『居たぞ!』
声と同時に私は駆け出した。
愛槍メイシンを握り締め魔物の眼前に。
『ヤッホー♪』
『『・・・!?』』
魔物が身構えるより先に横一閃槍を薙ぎ払う。
二匹は何が起きたかわからないまま首を斬られその場に崩れ落ちた。
『ちょ…ちょと待てソフィ!』
エースの声は聞こえたがそのまま奥に駆けていくと、先程と同じ魔物が二体と少し後ろに一回り大きな魔物が。
アイツがここのボスね
誰に言うわけでもなく一人呟くと、そのまま手に持った槍を力の限りボスの頭部目掛け投げ放った。
グシャ!!!
『『!?』』
突然自分達の間に居たボスの頭が吹き飛び、壁に槍が突き刺さった光景に理解が追い付かない魔物達。
私はそのまま刺さった槍まで走り、引き抜く反動を利用し二体の首を斬り落とした。
『はいしゅうりょ~う』
一足遅く現れたエースが呆れた様子で
『少しは用心したらどうだ…』
『ん~?だってゴブリンだよ?こんなの今更何十匹いても余裕余裕♪』
この森に巣を作ろうとしてた魔物は ゴブリン という種類の魔物だった。
低級悪魔で知能は低く皮の軽装鎧と錆びた剣や斧を片手に持つ「冒険者」にとっては最初に戦う程度の魔物だ。
『ねぇねぇ。何でこんなクエストに私達が出向かないといけないの~?』
正直わざわざ私達が受けるクエストのレベルじゃない。
他の初心者冒険者辺りにやらせるようなクエストのはずだ。
『俺に言うんじゃない。文句があるなら指示を出したマスターに言え。』
『むぅ。マスターからの指示なら仕方ないか…。』
『フッ。まぁ頼りにされてるってことだろ。
』
何年も魔物が出ていない森に最近巣を作り始めたとの報告が入り、
そこにたまたま居合わせたマスターが名乗り出たため私達がやるはめになったらしい。
『じゃあ、さっさと残りも狩って早く帰ろ~よ~。』
『そうだな。残りは…割りと近い…こっちの方角』
『りょ~か~い』
『だ…だから待てといってるだろ!全く…』
私はエースが話終わる前に指差す方に走り出した。
最初からあまり気の進まなかったクエストだから早く終わらせて帰りたいな~
なんて考えていると
『・・・けて!』
ん?
今何か聞こえたような?
『誰か助けて!』
間違いない!子供の声だ!でもどこに!?
意識を集中させ周りを見渡すと…
いた!三人…違う!?
二人の子供にゴブリンが攻撃しようとしている!
くっ…間に合うか…
駆け出すと同時に私は唱える…
『リミットブレイク!』
身体中に力がみなぎっていくのがわかる。
これなら…いける!
そして加速したまま真横から、降り下ろした剣もろともゴブリンを薙ぎ払った。
ふぅ…間に合った…
槍についた血を振り払い
『大丈夫?君たち怪我はないかな?』