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長い長い引っ越し作業が終わり俺はリビングに足を広げた。

「はぁー疲れたぁ」

まだ夏の残暑が残る9月のはじめで、汗が床に落ちる。

大きめの家具は全部入れてもらったしあとは段ボールの中の物を

全部取り出して並べるだけだが、そこが問題だった。

実家にあった自分の私物全て詰め込んで束にしたのだから

そりゃあまぁ多大なる量なわけで一人で全部やるなんて

世界一のあほがやることだろうに。

ただ他のあほ(こう言ったら失礼か)…他の人の場合は

手伝ってくれる友人の一人や二人、ましてや家族だっているかも

しれない。

しかし俺はそう言ったものに恵まれなかったのか、大学に行っても

友達出来ずに、家族にも勘当されてしまうしで散々な年になった。

「さてこれからどうしたもんかねぇ…」

口からでる言葉は、俺の未来を不安視したもので就職先も1年足らずでやめて

次はバイトの面接が受かるかどうか。

そもそも俺に接客とか向いてなかったって!うん!仕方ない!

とか思いながらどこか後ろで感じるもやもやした気持ち。

こんなことになるんだったら最初から好きなことやって

親に迷惑かけて友達作って彼女作って遊んどけばよかった。

名前がかっこいいとかで会社選ぶもんじゃねぇよ、うん。

「くそぉ~!もうゲームしてやる!!永遠に!!!」

俺は頭を掻いて持ってきていた愛用ゲーム機(携帯用)を手に遊び始めた。

ゲームを始めて数時間、眠たくなってきた。

あー、眠い、くそ、いいところなのに、あと少しで、けっこn…


俺はその日ゲームをしながら寝落ちした。


-------------

もうあれから何時間立っただろうか、1時間?2時間?いやもしや5分もたってないかも。

あーまだ眠い、ほんとまじ眠い。まだ寝てたいけど段ボールの中片づけなきゃいけないからなぁ

俺は目を開けた。

「――は?」

目の前に広がる異様な景色、9月なのに桃色に染まった木、鳥が泳いでいる湖

そして何より近くにある街がヨーロッパのような作り。

おいおいおい???ココハドコ?何??ん???ん????

頭の処理が追い付かない。脳に入ってくる情報が多すぎてショートしそうだ。

いやもうショートしてるっつーか、どうというか、なんというか。

「はー…はー?俺はどうしたんだ?死んだのか?死んでしまったのか??」

俺は勢いよく顔を叩いてみたらすごく痛かった。死んでないですね。はは。

空は青々と広がっていて頬はヒリヒリとしててさすった。

暫くして自分の手元を見てみたらそこに青い文字が浮かんでいた。

【ステータス・手持ち・道具・記録】

良くゲームで見かける文字に俺はハッとした。

「もしかして、ここってゲームの世界…なのか?」

あぁ、そうだこれはあれだ初めて自分の給料で買ったRPGゲームだ。

まさか眠ってる間に誰かに召喚されたとか、はたまた瞬間移動したのか、

すごいことになってしまったと俺はこの時初めて思った。いやさっきから思ってたけど。

「あ、あの…大丈夫ですか?」

俺が頭を抱えて考えていたら女の子の可愛らしい声だ聞こえた。

その声の方へと顔を向けたらこの世界に似つかわない服(ようは元の世界の格好)の少女が

心配そうにこちらを見ていた。俺と同じように来たのかもしれない。

「あ、あぁはい、大丈夫、うん。」

俺が台詞にならない言葉を使って説明すると少女はぱぁと顔を明るめた。

あ、どうしよう。すごくかわいいんですけど。

「良かった!こっちに来たの私だけかと思ってました!」

勢いのすごい少女はそのまま俺の手を握ってきた。

どきどきするんですけえどぉおおおぉおおお!!!!???

初めて女の子に生まれて初めて手を握られた。心臓が激しく鼓動をうつ。

「はははっはははは、はいぃい」

ああ神様、父さん、母さん、そして俺。

女の子の手ってこんなに柔らかいんだな、すごく気持ちいい。

「す、すみません!失礼しました!!私、秋元鈴って言います!さっきまで自分の部屋で

 勉強してたんですけど、息抜きにゲームしてて眠たくなっちゃって…そしたら」

鈴ちゃんか、いい名前だな。うん。可愛い。

ハッんなこと言ってる場合じゃねぇ!!今のろけてたわ。

「そう、なんだね。実は俺もゲーム中に寝ちゃって、起きたらここにいててさ。」

俺も落ち着いて自分の状況を話した。

鈴ちゃんはその話を真剣に聞いてくれてうなずいてくれた。

すごくいい子なんだな。この子。

「よし、じゃあ落ち着いたから街に行って話を聞いてみるか、いい?」

俺は鈴ちゃんにそうしていいか聞いてみた。

「はい!そうしましょう!!」

すごく満面の笑みで元気よく答えてくれて俺はきゅんってきた。

さて鈴ちゃんからOKを貰ったことだから街に情報集めをしに立ちあがる。

こうして俺と鈴ちゃんはこの世界からあっちに戻るため、そしてこの世界で

生き残る方法を探りに行った。


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