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21:依頼をこなして、会話を交わす。

 「ほら、ベス、とりあえず剣で倒してみてよ。まだ魔術は出来ないからとりあえずそれで」

 「わかった!」

 さて、上級冒険者のパーティーに絡まれたアレイシアとベストは魔物討伐の依頼を受けていた。

 人型の、小型な魔物。この世界にありふれているゴブリンという名の魔物。力は弱いが、繁殖力が高い魔物である。

 ベストはアレイシアに連れられて魔物退治をしているのもあって、少しずつ魔物退治にもなれてきていた。とはいっても魔術に関しては、まだまだである。アレイシアが手ずから教えてはいるが、今まで魔術とかかわりもなかった少年がすぐに魔術を使えるようになるわけもないのである。

 剣術の稽古もつけているため、そちらで対処をさせている。ベストが対処出来ない分に関してはアレイシアがさらっと終わらせている。

 

 「風の刃が、その身を刻む」


 たった、一つの言葉。それだけで形成される魔術。

 魔術公式が形成され、それが魔術として形を成す。そして、それはゴブリンたちの身を刻んでいく。

 それだけだ。それだけでゴブリンたちの命は失われていく。そんな所業が出来るのは、アレイシアが『森の賢者』と呼ばれるセイナの娘であるが故である。

 ベストが数匹を相手にして戻ってくると、アレイシアはのんびりとしていた。そのため、その口から出てきた言葉はこんな言葉である。

 「アレイシアさんって、本当凄いよね」

 「私なんてまだまだだよ」

 「いや、でも俺、魔術って詳しく知らないけれど、アレイシアさん以上に使える人見たことない」

 「お母さんの方が凄いよ」

 「……そっか。というか、さっきアーラさんって人が凄い魔術師だって話だったけど、俺アレイシアさんより魔術が使える人って想像つかない」

 ゴブリンの死体の討伐部位を回収しながら、アレイシアとベストはそんな会話を交わす。

 ついでに何かしら素材に使えるかもしれないので、一応それらを解体する。女性なら解体は嫌いそうだが、アレイシアはセイナに解体の技術も学んでいる森育ちなので特に気にしていない。

 「んー、私よりお母さんが凄いし、お父さんも、あと叔父さんも……」

 『それは仕方がないよぉー。三人ともアレイシアより長生きだもん。そのうちアレイシアはぁ、少なくともアキヒサは越せるよー。あ、でもあのアーラとかいう女よりアレイシアが下ってのはぁ、ありえないよぉー』

 「んー、そう?」

 アレイシアはイチの言葉に魔術の上がどちらが上かとか特にどうでもいいとでもいう風に答えている。

 「精霊様、何かいっているの?」

 「私の方があのアーラって人より魔術の腕はあるって。でもそれならあの人たち煩そうで嫌だなぁ」

 「……それもそうだ。さっき色々いってたもんな。でも、あれ、いいの?」

 「何が?」

 「ランクの高い冒険者パーティーの反感かったかもしれないじゃん」

 「んー、別に問題ないでしょう」

 ベストは心配をしているようだが、アレイシアは特に気にしていなかった。そもそもアレイシアにとって一番怒らせたら恐ろしい存在は母親である。それ以上に恐ろしい存在はない。

 そもそも、

 「ギルドってエルフ結構いるでしょう?」

 「ああ、確か……」

 「ヒレンが言っていたし、それなら悪いようには多分ならないと思う」

 と、そんな風にアレイシアは思っている。

 長寿の種族であり、魔術に長けているエルフという一族は冒険者ギルドの中でも上の位にいるものが結構いるというのをアレイシアはヒレンに聞いていた。支部のギルドマスターがそういう存在だったりとか、ギルドの本部の幹部にもいたりとか、エルフの全体数自体が少ないから少なく感じるかもしれないがそれなりの数がギルドにいたりもする。

 エルフの里の外にいるエルフたちはそれなりに頭角を現すものが多い。それは他の種族に比べて魔術に長けているからというのが理由である。

 そして見目の麗しいものが多いエルフの中には貴族などと縁を結んでいる者もいるという話も聞いている。

 その上位種であり、エルフ族にとって逆らってはいけないハイエルフの一員がアレイシアである。まず普通のエルフなら敵対はせずに、寧ろ協力的である。

 「そんなに呑気でいいの?」

 「うん」

 「というか、あのパーティーのトップエルフとのハーフだったみたいだけど……、アレイシアさんは知り合いじゃなかったの?」

 「うん。なんで?」

 「エルフって横でつながっているイメージだったから……。ヒレンさんとも知り合いだったみたいだし」

 「あー、それもそうだけど、あのハーフエルフは一度もエルフの里来た事ないと思うよ。私の事知らなかったみたいだし、親も多分もういないと思うし、あの人はエルフの事全然知らないと思う」

 「……アレイシアさんって、エルフの中で有名なの?」

 「お母さんがね!」

 「そっか」

 「うん。とりあえず、依頼終わったし帰ろうか」

 「うん。でもあいつらに絡まれたらどうするの?」

 「逃げるから大丈夫」

 アレイシアは全然気にもせずに笑っている。ベストはそんなアレイシアの顔を見て、心配しすぎかもしれないと気持ちを切り替える。


 そしてアレイシアとベストはそのまま街へと戻るのであった。

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