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20:上級冒険者パーティーと出会う

 アレイシアは、コントスの街にしばらく滞在をしていた。

 ベストは人間であり寿命の事を考えるとすぐに次の街に行くことも考えたが、ひとまず魔術をベストに教えてからしばらく滞在して次の街に行こうとアレイシアは決めていた。

 そんなわけでコントスの街でのんびりと過ごしているアレイシアとベストの事を知らないものは誰もいないほどになっていた。

 「アレイシアさん、今日はどうする?」

 「んー、魔物討伐かな。魔術教えたし、ベスも出来ると思うんだよね」

 『アレイシアに教わったのに魔術を上手く使えないとかはぁー、ふざけてるってかんじだよねー』

 「イチ、聞こえていないからって文句言いすぎだよ」

 『聞こえててもぉ、いうよー?』

 セイナの娘であるアレイシアに対してあふれんばかりの愛情を持ち合わせているイチは相変わらず人間であるベストのことが気に食わないようである。

 「え、俺そんなに文句言われているの?」

 「んー、まぁ、気にしなくていいよ。イチは人間が嫌いなだけでベスを特別嫌っているわけでもないし」

 「人間を嫌っている?」

 「うん。私のお母さんと仲良しの精霊だからさ。お母さんも精霊たちも人間にいやな思いさせられたっていってた。私も詳しくは聞いていないけれど」

 「……そっか。アレイシアさんのお母さんぐらいだと、もしかしてちょうど迫害期の」

 「うん。まぁ、そんな感じ」

 エルフ族がこの世界に現れた当初、見た目は変わらないのに人間よりも成長速度がゆっくりで不気味だという理由で迫害されていた。実際はアレイシアの両親はエルフ族の祖であるハイエルフが一人アキヒサと同じ種族であり、エルフ族迫害より前よりこの世界に存在していたわけだが、ハイエルフだと説明したくなかったアレイシアはうなずいた。

 ハイエルフという種族は、世界にとって特別な意味を持つ。

 世間的に言えば(エルフ族以外)、アレイシアの存在は外には知られていない。ハイエルフであるセイナとフランツの娘だと知られれば周りが騒がしくなることは間違いなく、そんなことになったらのんびり世界を見て回るという野望がかなわなくなってしまう。

 わざわざエルフのふりをしてまで旅をしている意味がなくなってしまう。

 会話を交わしながらギルドの中へと二人は足を踏み入れる。

 その日は、いつもと様子が違っていた。

 いつもより騒がしくはない。少し様子のおかしい冒険者たちはある一点を見つめている。そこには五人の男女のパーティーがいた。

 男二人、女三人。

 そのうちの一人にアレイシアの目が行く。

 一人の男は、なんだか不思議な雰囲気をまとっていた。

 そんなアレイシアにイチがいった。

 『アレイシアぁ、あれ、ハーフエルフだよぉ。人間と、エルフの』

 「ふぅん。じゃあ、私のこと知らない?」

 『片親のエルフがちゃんと生きていてぇ、そしてぇ、まともなエルフなら~、伝えているはずだよー』

 と、イチが言うのも、エルフ社会にはアレイシアの存在がしっかり伝えられているからだ。寿命がそれなりに長い分数も少ないエルフたちは基本的にハイエルフという存在を特別視している。ハイエルフはエルフ族の祖であり、敵対してはならぬものだ。それはエルフ族では絶対のことである。

 「あ、来ましたよ」

 イチとアレイシアが話しているとなぜか受付の女性は、五人組のパーティーに向かってそういいながらアレイシアたちを指差した。

 「君が、凄腕と噂の魔術師かい?」

 一人が驚いたようにそういってアレイシアに近づく。あの、ハーフエルフの男だ。

 「凄腕とか言われてもよくわからないんだけど。それより、これはなに?」

 なぜ自分が指差されているのかもわけがわからずアレイシアは首をかしげた。

 「ああ。すまない。俺はノラン。ギルドランクAだ」

 「そう。私はアレイシア。それで?」

 ギルドランクAは高位ランクである。が、アレイシアは一切戸惑いも、引きもしない。実際セイナに鍛えられているアレイシアはノランにもかつことはできるだろう。

 「凄腕の魔術師がいると聞いてな、実力を知りたくなったんだ。一緒に依頼をうけてくれないか?」

 そう問いかけるノランの後ろで、人間の少女が一人アレイシアをにらんでいる。恰好からしておそらく魔術師だ。

 「それに付き合う必要はないでしょう? 私はベスと依頼を受けるの」

 アレイシアはばっさりと断る。ノランの後ろで女性三人がアレイシアをにらんでいる。なぜノランの誘いを断るのだとでもいう風に。

 「そうは言わずに頼むよ。俺も君の実力をみたいし、アーラより腕が良いかもしれないなんて言われたせいでアーラが気にしているんだ。まぁ、過大評価だとは思うが」

 「いや、そんなの知らないですし」

 アレイシアはそういいながらめんどくさいと思っていた。それは結局他人の都合である。アレイシアが乗る必要はない。

 「君にも悪い話ではないだろう? 後ろの子も一緒でいい。この俺たちと依頼がこなせるんだぞ?」

 「いや、面倒なのでいいです。ベス、いくよ」

 アレイシア、自意識過剰な言葉にばっさりつげる。

 スタスタとアレイシアは固まるノランを置いて受付に近づき、依頼を受けようとする。そうしたらノランのパーティーの魔術師、アーラがおこったように近づいた。

 「あなた、ランクが低いくせにノランの誘いを断るなんてっ! ちょっと魔術ができるからといってーー」

 アレイシア、うるさくなったらしく無詠唱で魔術を発動し、その声を遮断する。

 「これ受けます」

 「え、えっと」

 「受理して」

 アーラが邪魔しようと手を伸ばすが、見えない壁にはじかれる。それにアーラたちが目を見開く。

 「は、はい」

 恐る恐る受付嬢は受理をする。そしてアレイシアはえ?え?と困っているベストの手を引いてギルドから出ていく。途中で邪魔をされそうになったが、全部魔術で防ぐのであった。




冒険者パーティーのパーティー名が思いつかなかったです。ちょっと考えます。

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