表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/58

第53話|再失踪

 二度目は、早かった。


 前回の失踪から、

 まだ半日も経っていない。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『え、もう!?』

[300年ROM専]『……早すぎる』


 消えたのは、二人。


 外縁の小さな倉庫で作業していた、

 兄弟だった。


 昼間。

 人通りのある場所。

 森からは、少し距離がある。


 条件は、前回よりも悪い。


《神観測ストリーム》


[慎重派の神]『完全に範囲拡大だ』


 ユウトが現場に着いたとき、

 倉庫はいつも通りだった。


 扉は閉まっている。

 鍵も壊れていない。


 中には、作業途中の荷物。


 人だけが、いない。


《神観測ストリーム》


[地形厨ヘカトン]『持ち出しゼロ』

[戦術屋ヘルメス]『連れ出し確定』


 床に残る足跡は、

 二人分。


 重なり合い、

 途中から一本に揃っている。


 歩幅も、乱れていない。


《神観測ストリーム》


[300年ROM専]『抵抗なし』


 セラが、小さく息を吸う。


「……前より、はっきりしてるね」


「ああ」


 今回は、見せる気がある。


《神観測ストリーム》


[観測者アレス]『意図が明確になった』


 足跡は、外縁をなぞる。


 森には入らない。

 だが、森を背にして進んでいる。


 線が、さらに太くなる。


《神観測ストリーム》


[地形厨ヘカトン]『前線更新』

[今日も暇な女神]『地味に一番怖いやつ』


 途中、

 足跡が消えた。


 何の痕もなく。


《神観測ストリーム》


[300年ROM専]『……消えたな』


 ユウトは、その地点で立ち止まる。


 前回と違う点が、三つ。


 人数。

 場所。

 そして――

 戻ってきていない。


《神観測ストリーム》


[慎重派の神]『待っても戻らない』


 ギルドからの連絡が入る。


 他の外縁でも、

 似た報告が出始めている。


 失踪未遂。

 連れ出しかけて、失敗。


 動きが増えている。


《神観測ストリーム》


[戦術屋ヘルメス]『数、試し始めたな』


 日が傾く。


 外縁全体に、緊張が走る。


 見張りは増えた。

 人も引いた。


 それでも、

 消えた二人は戻らない。


《神観測ストリーム》


[300年ROM専]『戻らないのが本番だ』


 ユウトは、倉庫の前に立ち、

 目を閉じた。


 追えば、戦闘になる。

 深追いすれば、

 向こうの盤に乗る。


 だが、

 追わなければ――

 失われたままだ。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『うわ、選択肢重っ』


 神コメが、急に減った。


 冗談が止まる。

 茶化しもない。


《神観測ストリーム》


[300年ROM専]『……分岐点だ』


 ユウトは、目を開けた。


 判断材料は、揃っている。


 線は外に出た。

 人を攫う。

 殺さない。

 壊さない。


 ――目的がある。


 そして、

 今度は、戻していない。


《神観測ストリーム》


[観測者アレス]『判断を迫られている』


 ユウトは、セラを見る。


「……行く?」


 問いは短い。


 セラは、一瞬だけ迷い、

 それから頷いた。


「うん」


 その一言で、

 もう後戻りはできない。


《神観測ストリーム》


[慎重派の神]『覚悟決めたな』

[戦術屋ヘルメス]『盤に乗る気だ』


 ユウトは、森の方角ではなく、

 外縁の線の先を見る。


 次は、

 追う。


 そう決めた。

ここまで読んでいただきありがとうございます!


少しでも面白いと思っていただけたら、

★評価・感想・ブックマークで応援してもらえると励みになります。


次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ