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第48話|外縁

 森の中には、入らなかった。


 ユウトが選んだのは、

 森を囲む道と、集落に近い外側だ。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『森スルー!?』

[戦術屋ヘルメス]『内側じゃなく外からか』

[300年ROM専]『……妥当』


 街道は普段通りだった。

 行商が通り、

 荷馬車の跡が残っている。


 だが、よく見ると違和感がある。


 人は通っている。

 だが、森に近づかない。


 無意識に距離を取っている。


《神観測ストリーム》


[地形厨ヘカトン]『踏み込みラインが後ろに下がってる』

[慎重派の神]『嫌な直感だな』


 外縁の小さな集落に立ち寄る。


 宿でも、酒場でもない。

 ただの共同井戸。


 水を汲んでいた老人が、

 ユウトたちを見るなり、目を細めた。


「森の方へは、行かれないほうがいい」


 理由は聞かれない。

 忠告だけが置かれる。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『即忠告!?』

[300年ROM専]『もう噂だな』


「最近、

 獣も人も、戻りが遅い」


 行方不明、とは言わなかった。

 遅い、だ。


 それが妙に現実的だった。


 ユウトは、深くは聞かない。

 ただ、時期と方向だけを確認する。


《神観測ストリーム》


[観測者アレス]『聞きすぎないのが上手い』


 次に立ち寄ったのは、

 森から少し離れた農地だった。


 柵が増えている。

 以前より、外向きに。


 獣除け、というより

 境界線に近い。


《神観測ストリーム》


[地形厨ヘカトン]『防衛線引いてる』

[戦術屋ヘルメス]『内側を捨ててるな』


 セラが、小さく呟く。


「……人、森を捨て始めてる」


「まだ、気づいてないだけだ」


 完全に危険だとは、

 誰も言っていない。


 だが、

 避け始めている。


《神観測ストリーム》


[300年ROM専]『前兆だな』


 街道沿いの見張り台に寄る。


 冒険者が二人、交代で立っていた。


「調査か?」


「ああ」


 それ以上は聞かれない。


「森の奥は分からんが、

 外側は、夜に音がする」


 金属音ではない。

 獣の鳴き声でもない。


 区別できない音。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『嫌すぎる情報』

[慎重派の神]『夜は行くな』


 日が傾く。


 十分だ。


 ユウトは、森を見ない。

 見ないまま、位置関係を頭に入れる。


 集落。

 街道。

 見張り台。


 森を中心に、外が動いている。


《神観測ストリーム》


[観測者アレス]『盤面を広く見ている』


「戻ろう」


 セラが頷く。


 今日は、

 これ以上踏み込まない。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『今日は安全回だね!』

[戦術屋ヘルメス]『情報量は多い』

[300年ROM専]『良い外縁調査だ』


 街へ戻る途中、

 ユウトは一度だけ立ち止まった。


 森の方角。


 何も起きていない。

 だが――

 起きる準備は、整っている。


《神観測ストリーム》


[観測者アレス]『前線は、もう外だ』

[300年ROM専]『気づくのが早い』


 次に踏み込むときは、

 森だけを見ていては、足りない。


 ユウトは、そう確信していた。


《神観測ストリーム》


[今日も暇な女神]『次、荒れる予感!』

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