第47話|二度目の報告
森を出てから、
ユウトはまっすぐギルドへ向かった。
寄り道はしない。
考えは、歩きながら整理する。
《神観測ストリーム》
[今日も暇な女神]『はい報告タイム!』
[戦術屋ヘルメス]『二度目は扱い変わるぞ』
[300年ROM専]『……聞かれる側だな』
ギルドの空気は、昨日より静かだった。
人はいる。
仕事も回っている。
だが――
奥の方が、妙に落ち着いている。
受付で名前を告げると、
短い間を置いて、すぐ呼ばれた。
また、奥だ。
《神観測ストリーム》
[慎重派の神]『もう通常扱いじゃない』
「戻られたんですね」
対応する職員は、昨日と同じ人物だった。
「再調査の件、
報告をお願いします」
ユウトは頷く。
今回も、余計なことは言わない。
静かだったこと。
戦闘痕が整理されていたこと。
金属音を一度だけ聞いたこと。
そして――
踏み込まずに戻った判断。
《神観測ストリーム》
[観測者アレス]『判断を含めて報告している』
[300年ROM専]『分かってるな』
話し終えると、
職員はすぐに評価を口にしなかった。
代わりに、質問が一つだけ返ってくる。
「……なぜ、引いたのですか」
試すような声音ではない。
確認だ。
「状況が昨日と違ったからです」
即答だった。
「向こうは数を出していない。
でも、気配は消していない」
言葉を選ぶ。
「接触する意味が、なかった」
《神観測ストリーム》
[今日も暇な女神]『かっこいいこと言ってる』
[戦術屋ヘルメス]『理由が実務寄りだな』
職員は、小さく頷いた。
「……こちらの判断とも一致します」
その一言で、
部屋の空気が変わる。
《神観測ストリーム》
[300年ROM専]『信頼確定』
「実は」
職員は、声を落とした。
「同じ森の外縁で、
別の小規模調査が中断されています」
被害は軽微。
だが、全員が撤退している。
「共通点は?」
ユウトが聞く。
「――接触前に、
“嫌な気配”を感じた、という点です」
《神観測ストリーム》
[慎重派の神]『前線広がってる』
[今日も暇な女神]『うわ、点と点が線に』
職員は続ける。
「ですので、
この件については――」
一拍。
「当面、
あなたの判断を基準に動きます」
任せる、という言葉は使わなかった。
だが、意味は同じだ。
《神観測ストリーム》
[観測者アレス]『基準にされたな』
「無理に踏み込む必要はありません」
「ですが」
視線が、真っ直ぐ向けられる。
「もし、
“今だ”と判断した場合は」
「その判断を、
こちらも尊重します」
責任の所在を、
押し付けていない。
同時に、
逃げ場も残していない。
《神観測ストリーム》
[戦術屋ヘルメス]『重い信頼だ』
ギルドを出ると、
セラが少しだけ息を吐いた。
「……想像より、重かったね」
「うん」
軽くはない。
でも、嫌じゃない。
「どうする?」
セラの問いに、
ユウトは少し考えた。
森の中。
金属音。
踏み込まなかった判断。
「もう一段、
外から見たい」
即、森へ戻るわけじゃない。
「森そのものじゃなくて、
周辺から」
《神観測ストリーム》
[今日も暇な女神]『はい、視点変更!』
[地形厨ヘカトン]『外縁調査きたな』
[300年ROM専]『慎重でいい』
ユウトは、街の外へ続く道を見た。
前線は、森の中だけじゃない。
そう確信していた。
《神観測ストリーム》
[観測者アレス]『判断が一段進んだ』
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