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魔王を倒す何人かの勇者  作者: 街角で見かけたレタスロール
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平和な荒野

北部のゲートを抜けて町から出ると、目の前には荒野が広がっていた。

「町から一歩でも出ると、こんなにも何もないのか……」

そう思うほどに、荒野には視界を遮るものが何もなく、地平線までくっきりと見渡せた。ここは王都から遠く離れた辺境の地。建物も人影もなく、まさに田舎そのものだ。

「しかし、魔王が見つからない……」

ゲートの外で暴れ回っている魔王を想像していたため、こんなにも静かな荒野は予想外だった。

「魔王――――」

ありったけの声で叫んでみた。しかし、荒野に広がっていく声は何かにぶつかって跳ね返ることもなく、ただ通り抜けていくだけだった。雄大な大地と満天の太陽のもとでは、些細な動きなどきっと見落とされるのだろう。どんなに叫んでみても効果はなかった。

しかし、冷静に考えるとこのような行いは、魔王に自らの位置を伝えるだけで、何のメリットもない。つい町が騒然となるまでは寝ていたものだから、思考も散漫になっているのかもしれない。

気を引き締めるため、一度頬を叩く。

バチンッという音が荒野に響くが、やがてすうっと抜けていく。それでも、痛覚はしっかりと残っており、頭は冴える。

「しかしだ…あれ、待てよ……」

頭が回ると今度は悪知恵が働いてきた。

もしかして、このまま魔王が見つからない方がいいのではないか? 魔王に立ち向かおうとする姿勢こそが重要なはずだ。仮に魔王に遭遇しなくても、戦いを挑もうとしたという形さえ作れれば、勇者規約には違反しないのではないか?

「むしろ、そっちの方がいいはずだ」

そう決めると、さっきより歩幅を緩めて、時間をかけて魔王を探すことにした。魔王に遭遇しないように魔王を探す。それを実行する。いつでも魔王は、この荒野から逃走してくれてかまわない。そんなスタンスだ。

しかし、人生は、そう、うまくいかないものだ。

背後からこの世のものとは思えない程のおぞましい気配が迫ってくるのを感じる。全身の鳥肌が止まらない。生まれてこの方、ここまで空気感だけで生死を分断される気持ちになったことはない。もしかすると…ま、魔王なのか…?

「なんだ? 小僧」

ドスの聞いた低い声でそう問うてくる。

あまりの威圧感に振り返ることが出来ない。

背後の人(もしくは生物)からは、なんだ?と問われた。ほんとうに、魔王なのか…?魔王ならば、たしかに状況に矛盾しないが…。

状況を整理するために覚悟を決めて振り返ることを決める。

「ま、魔王なのか……?」

振り返りながら発した声は、怯えており震えていたのかもしれない。しかし、しっかりと目を開けて目の前の状況を確認する。

すると、そこには、獣がいた。


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