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魔王を倒す何人かの勇者  作者: 街角で見かけたレタスロール
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歴史的瞬間

「この町の北部の荒れ地に魔王が出現しました……! まだ避難していない一般市民の方々は、速やかに避難してください! そして、国王軍および民間の勇者たちは、ただちに現場へ向かってください!」

朝から町中を駆け回り、大声で叫ぶ役所の職員たち。もう、かれこれ2時間近くこの調子が続いているのではないだろうか。高ランクの民間勇者たちは、すでに魔王討伐に向かった。町の住民の多くは、既に避難し、この町を後にしている。

普通は、このような処置がとられることはない。例えば、狼の群れや狂暴な熊が現れたという案件だったならば、きっと国王軍もしくは民間勇者は、人知れず市民の安寧を守っているだけだ。しかし、今回は、状況が過ぎる。最後に、目撃情報が二百年前まで遡る、化石と化していた化け物が出現したというのだ。今この瞬間は、死んでいたと思われていた魔王が人々の期待に反して生きていたという前代未聞の歴史的瞬間なのだ。明日には、この町一帯が、魔王の襲撃を受けた町として、過去の遺跡と化すかもしれない。

しかし、実感がわかない。本当に現実なのか?頭では理解していても、体は反応していない。なんの恐怖心も湧いてこない。

魔王討伐に向かう勇者達の視線が痛い。同じ勇者である自分が、まだ討伐に向かわずに、ただぼーっと様子を眺めているだけだからだ。

「はあ……そろそろ頃合いだろうか」

重く、まるで椅子に縫い付けられたような腰を上げる。

「まさか、低ランクの自分にまで出番が回ってくるとは……」

高ランク案件である魔王討伐に、低ランクの勇者が駆り出されることは、まずない。なぜなら、高ランクの勇者でも太刀打ちできない相手に、低ランクの勇者が敵うはずもないからだ。

ましてや、今回のターゲットはさらに強大だ。四百年もの間、この世に蔓延ってきた化け物。言ってみれば、熟成された怪物だ。どんな戦力も、四百年熟成された怪物の前では、付け焼き刃に過ぎない。

「……ますます行きたくなくなるな」

腰の重さが、さらに増した気がする。しかし、勇者規約に署名している以上、悪を見逃すわけにはいかない。

「ふう……」

ゆっくりと息を吐き、意を決して腰を上げる。しかし、未だに実感がわかない。頭の中には、昼時で小腹が空いたことに対する不快感がある。自分の体は、未だ、いつもの日常を平常運転してのか…。

こうして、自分もまた、魔王討伐へと向かった。


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