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プロローグ
今から400年前、アッカルーイ王国に一匹の獣が現れた。
その獣は高い知能を持ち、狼のような風貌で二足歩行し、肉食獣のように厚いたてがみを備えていた。
上半身は厚みがあり、肩からウエストにかけて引き締まった逆三角形の体型は、まるでブルドッグが直立して歩いているかのようだった。
やがてその獣は、異国から伝来したパーティー用の仮面と鮮やかな青いマントを身にまとうようになった。
獣らしからぬその風貌は人々の興味を引き、多くの者がそのもとへと足を運んだ。
しかし、人々はすぐに気づくことになる。
その好奇心は、心の奥にしまっておくべきものだったのだ。
魔王に近づいた者は、皆惨殺された。
屠った後も返り血を一切浴びることなく、冷淡に命を奪うその姿は、獣の冷酷さを象徴していた。
それ以来、獣が奪った命は数知れず、いつしかその紳士のような外見と冷酷さから、人々は彼を「魔王」と呼ぶようになった。
最後の目撃情報があったのは、およそ200年前。
それ以降、誰も魔王を目撃していない。
彼が今も生きているのか、それとも既に死んでいるのか――それすら分からぬまま、時は流れた。
今では多くの人が魔王は死んだと結論づけ、その恐怖も過去のものとなっている。




