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目が覚めたら目の前に推しがいた。  作者: アーサー・D
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楽園は台所にあった。

これはよくある転生物語じゃない。

王道転生系だと、某トラックに引かれて死んだ先が推しの世界。そこからドキドキワクワクな逆ハー物語が始まる。

そうなったらどれだけ楽か...。

俺が今直面してるのは、そんな転生系と真逆、対象的な世界。俺が生きている世界に推しが来たのだ。

何言ってるか分からないって?そうだろうね、俺もよくわかってないんだから。

とりあえず昨日の夜からの話をしようと思う。



いつも通り会社での仕事を終えた俺は、上司の付き合いで飲み会に行った。


「ほら山下くんもっと飲みなよ〜」

「いや、俺は大丈夫です、ハハ...」

「遠慮しないで、ほらほら〜」

「えぅ...」


その調子で夜2時まで飲み続け、もう俺は泥酔どころの話じゃなかった。上司も飲んだくれて遅れる状態ではなかったが、その辺の記憶はもうない。消え去ったものは仕方ないが、その空白の時間が問題である。

朝起きると、上がったはずのない自分の部屋におり、入った記憶もない風呂に入っており、敷いたはずのない布団で横になって寝ていた。

もう訳が分からん。なんで俺はしっかり家に帰ってるんだ?と、まぁ思ったけれど帰れたのなら不審者だろうと感謝しておかないといけないね。ありがとう不審者。不審者時待ったわけでないけどありがとう不審者。


そこからが俺の人生を狂わせた大問題だ。隕石が降ってくるよりも問題なのは、朝飯を食おうと台所に行ったら、そこに推しがたっていた事である。

え?いみがわからない?

だから、朝起きて台所行ったら推しがいたんだよ。え?まだわからない?わかってくれ無理やりにでも。

そんでもって推しがいた訳だが、推しは俺の家の事を自分の家だと思っていたらしく、お前は誰だと言われた。いや俺からしたらお前がなんでここにいるんだという話である。

いやいるのはありがたいよ、目の保養だし、でもなんでいるんだここに。

そして今に至る訳だが、、、。


「で、お前は一体誰なんだ」

「いや、だから山下柊志です。」

「言われても訳が分からんが、ここは俺の家じゃないのか?」

「俺ん家です......。あの、湊月く...さんですよね」

「不審者か?」

「いやあの俺からしたらあなたが不審者...いやなんでもないですごめんなさい。」


分からない読者の皆さんに説明しよう。

彼の名前は湊月みつき♂︎

人気アイドルグループ「星空」のリーダーであり、老若男女問わず人気がある国民的大スターである。

家事全般得意と自称している訳だが、まじで家事上手かった。スゲェよ。


そして俺、山下柊志しゅうじ♂︎

そこそこの株式企業で働いているサラリーマンで、星空を推しているごく普通の男24歳独身。家事もそこそこで顔もそこそこ。性格はいいほうだと思う...多分。


そんな交わっては行けないはずのファンと推しが同じ屋根の下でこうして向かい合っている、命日か?

神様がいるのならこれだけ言いたい。なぜ家なのだ、なぜ寝起きなのだ、会えたことは嬉しいがもっと条件を揃えて欲しかった...と。

こんなことを話している暇は無い。とりあえずこの状況を何とかする方法を考えなければい。

普通にこの場所から推しに帰ってもらうのが1番だが、まず推しの主張と俺の主張がガッチャンコしてるわけで、どっちもここが自分の家だと主張。Googlaマップで検索をかけても双方同じ子の家にピンが刺さる。困ったもんだねこりゃまいった。

というわけで只今絶賛会議中である。


「まずえっと、湊月、さんは今日の予定は無いんですか?」

「今日はライブの練習がある」

「ら゜ッ?!」

「どうした変な声出して」

「イッイヤァ...らいぶ.........ライブね、そっすか...」

「あぁそっか、これまだ秘密.........内緒にしといてな」

「あ゜ー、はひ......」


ちょちょちょ、じう法漏洩じゃないッ?!これ大事か?!えっ、ぴっ???

こほん、失礼仕った...。

ということはここからその練習場所に行かないといけないわけで、俺もこの後仕事なわけであって...。


「と、とりあえずは...その...、帰ってから決めましょう...」

「まぁそうだな、柊志がいいなら俺はそれでいいぞ」

「しゅッ、あ、はい......湊月さんがいいなら...」

「俺は全然大丈夫だから、柊志も仕事があるんだろう?」

「まぁ、はい、もう遅刻決定ですけど...」

「やばいじゃないかっ!俺が送るぞ!!」

「え"ッ!?いやいいですいいですッ!!歩いて行ける距離ですからッ!!」

「俺は車があるんだからそっちの方が早いだろう!どうせ俺ももう出るんだからついでに乗っていくといい!」

「いや悪いですから!大丈夫ですからぁぁぁ!!」



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