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崖っぷち

謎の軍勢に襲われ、峡谷に落ちてしまった主人公一行。果たして、生きて帰れるのか。

「何人ついてきている。」

「200人位だな。動けそうなやつはもっと少ないぞ。」

 少ない。少なすぎる。最初は3000人の兵がいたはずだ。ほとんどやられたというのか。

「着地に失敗したわけではあるまいな。」

「魔力切れで軽く怪我したのがいるくらいだな。」

 流石は親衛隊。結構な高さの崖から落ちてもほとんどが無傷だ。我も風を使って衝撃を減らしたが、少し足がしびれた。

「よし、負傷者を治癒しよう。ジャズ、できるか?」「あんま得意じゃねえし、この人数治すのはちと厳しいぜ。」

 ジャズも戦闘に関することは得意だが、本人が無傷でいることが多いからか、治癒魔法だけは苦手らしい。

「ならば、動ける者だけで先遣隊を編成しよう。どこかに、上に戻る手段があるかもしれん。」

 ジャズはわかったと言いながら足早に兵の方へ混じって行った。仕事モードになったようだ。


 暗くなってきた。渓谷の中というのもあり、すぐに日が暮れる。いや、この規模は峡谷だな。記録を書き換えておくように言っておこう。

 とはいえ、そもそも帰れるのかも、まだはっきりしていない。

「先遣隊の編成が終わったぜ。もう暗いが、行かせるか?」

「いや、明日にしよう。ここが果たして安全なのかもわからんのだ。」

 この峡谷にも魔獣が出ると聞く。夜は特に危ないだろう。


 夜が明け、皆が起き始める。幸い、治癒魔法の得意な者がいたので、すでに負傷者のほとんどが応急処置を受けている。

「じゃあ、先遣隊を先に行かせるか。」

 先遣隊に周囲の地理を把握してきてもらう。そのうえで、上に行けそうな場所を探してもらうのだ。

「一応、俺だけなら跳べるんだがなぁ。」

「ん?」

 何を言ってるんだ、コイツは。

「いや、こんな入り組んだ場所じゃなきゃ跳んで周囲を見渡すことくらいできたんだがなぁ。」

「じゃあ、なんでそれを使って王都に帰らないんだ。」

「セオドアが危ないだろう。瞬間移動じゃないんだ。俺がいない間に何かあったらどうする。兵も少ないんだからな。」

「その重そうな鎧を脱いだらもっと速く動けるんじゃないかしら?」

「だから、この鎧は俺の体の一部と言っても過言では無いわけで…。」

 ん?今喋ったの誰だ。

 咄嗟にジャズが剣を抜く。

「親衛隊!警戒!」

 号令をかけると共に声の主を探す。

「あら、気づいてなかったの。鈍いわねぇ。」

 上か、あんな所に人が座れるほどの出っ張りがあるとは、気づかなかった。見た所、年ごろの少女らしい。なぜこんな所にいるんだ。

「お前は誰だ!言え!」

 ジャズが叫ぶ。少女はジャズの威勢をものともせず、ニヤニヤしている。服装的にこの辺りに住む者だろうか。

「我々は訳あってここに遭難してしまった。君がここに詳しいのなら、助けてはくれないだろうか。」

「セオドア、ヤツを信用するのか?」

「いや、詳しい者に聞いた方が早くここから出られるかもしれないだろう。いざというときも、数もこっちの方が多いんだからな。」

 少女は嬉々として言った。

「じゃあ、何かいいものをちょーだい。あなた、そこそこいいとこの人なんでしょ?」

「例えば何だ?」

 金ならいいが、種族によっては寿命とか持っていく者もいるから、気軽にはいと言えない。

「地位」

 少女とは思えない野望だ。見かけによらず、いい年してるんじゃないか?ただまぁ、命とかじゃなかっただけいいだろう。

「わかった。それなりの地位は保証しよう。」

「びっくりー。あなたそんなに偉い人なの?いいわ。助けてあげる。一度私の住んでる所に案内するわ。そっちの方が近いもの。」

 助かった。まだ完全に信用はできないが、光は見えた。

「セオドア、いざというときは俺がやるか?」

「お前はいい。住んでる所とやらがどんな所かは知らないが。村だとして、消されても困るしな。」

 軍人の手綱はしっかりと握っておかないと。

ずっとジャズは鎧を身に着けているが、その生身を見たのは、王家とジャズの親しかいないとか…。

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