会敵
あの平原には神様が住んでいる。
[森の民]それは、自然を愛し自然と共に生きる者の総称。万物に神が宿っていると主張する者達だ。
「どうする?行くか?」
今日も今日とてジャズが暇を持て余して、我の部屋にいる。
「我も忙しいのだ、当分は城から出れんよ。ところでジャズ、仕事はどうした。ちゃんとあるはずだぞ。」
「仕事は全部若造に押し付けた。大体、本当に俺がやらなきゃいけねぇ内容でもねぇしな。」
「お前がやらんと、その若造がキツイ思いをするのだ。自分でやれ。」
「で、行くのか?森には。」
話を聞かんやつだな。
「だから、忙しいと言ってるだろう。」
「だが、向こうはそこら辺の奴とは口を利かんぞ。」
「…」
「大丈夫だ。俺も行く。」
「…何が大丈夫なんだ?そしてお前にそんな余裕があるのか?」
「絶対に行ってやるさ。」
平原は王都からそこまで遠くないが、森は少し距離がある。面倒だ。
数日後、結局押し切られて、私は今馬車の中だ。ただ、森の民が話を聞かないのも事実ではあるので、どのみち行かなければいけないのだが。
「いいよなぁ、平原は。馬が走りやすい。」
「お前は重くて馬が嫌がるだろ。」
「部隊の話さ。」
ジャズは常に重装備だ。故に、技術はあるらしいが馬に乗れない。
「ジャズ、お前最後に鎧脱いだのいつだ。この前の報告会でも脱いでなかったろう。」
「脱がなくてもいいだろ。」
なぜそうなるのか。
「それにしても、襲撃されたようだが、まだ撃退できてないようだな。」
「よくわかるな。流石は初代から仕えてるだけはある。」
「…ちょっと見てくる。」
そう言ってジャズは馬車から飛び出した。扉を開けたときに硬いものがぶつかり合う音が聞こえたので、すぐそこに前線があるようだ。不味い。もし、我に刃が届くようであれば我が戦わなければいけない。
カーテンの隙間から周りを見渡す。
「渓谷じゃないか!?なぜここまで来ている!」
王都から平原を南東に進むと森林が広がっており、そこに森の民が住んでいる。だから我々はそこに行きたかったのだ。しかし、今いるのは森林から南に逸れた高原、そこの渓谷にいる。
「ジャズをもっと早く行かせていれば…」
いや、我は索敵は得意でない。そもそも戦闘自体、歴代最弱と言われたことすらある。
「いたぞ!ここだ!」
突然扉が開き、甲冑姿の者が襲いかかってきた。
「なっ、くらえっ!」
咄嗟に手を出し魔力を爆発させる。数人吹き飛ばしたが、馬車を壊してしまった。
「クラァッ」
ジャズが敵をなぎ倒し戻って来た。
「セオドア!無事か!」
「ジャズ!なにをしている!」
「とりあえず、馬に乗って逃げるんだ。数が多すぎる。」
それなりの数いた近衛兵たちがほとんどやられている。本当に危ないな。
「渓谷に飛ぶぞ!」
「なっセオドア!流石に無理が!」
どのみち、完璧に囲まれている。逃げ道はここしかない。我々は渓谷へと、飛び降りた。
森の民はエルフ的なものだと思ってください。ちょっと違うけど。




