訪問
マッシーナ族の村へと招待されたセオドア、見せたいものがあると言っていたが…
「お〜、着やすいね。それに、王らしい格好じゃないか。」
先日のマッシーナ族の一件から、私の格好はあまりにも貧相であるらしいことがわかったので、特注でちょっと豪華なものを作ってもらった。着るのが面倒な作りだとたぶん着なくなるので、着るのに時間のかからないように作らせた。今後はこれを着るようにしよう。
さて、今日はマッシーナ族の村へ出発する日だ。1週間ほどかかるが、もう慣れたのでさほど苦痛でもない。
今回は産業部長のメイにも来てもらうことにした。マッシーナ族の高度な技術についていけるのは彼女くらいだろう。まぁ、我々の技術とは魔法ありきのものが多いので、根本から違う可能性もあるが。
「セオドア様、到着まで1週間と聞きましたが、早く着く方法は何かないのでしょうか。」
メイもいつもと変わらない無表情に見えるが、言葉の節々からワクワクが伝わってくる。
「陛下、今回護衛を務めさせていただきます。
ピエール・デュポンです!」
「ああ、今は君の中隊か。」
王都には王様…つまり我を護衛する専用の中隊が2つある。そしてその中隊は交互に任務にあたっているので、定期的に担当の隊長が変わるのだ。
「ピエール君よろしく頼むよ。あと、ここだけの話、産業部長殿は大きな音があまり好きでない。できるだけ静かに頼むよ。」
「かしこまりました!」
声でか。彼は実力はもちろん確かなのだが、やる気に満ちあふれているので、ちょっとうるさい。
特にメイはそういうのが苦手なので、気を付けなければならない。
出発してから2日ほど経っただろうか。王家の馬といえど、流石に時間がかかる。これでも足は世界一速いのだが。
「ガアアアア!!」
外から大きな鳴き声がする。ちらりと外を覗くと、
そこにはデカい魔獣がいる。デカい、とにかくデカい。とりあえずメイの方を見る。大きな音に驚いて放心している。隣でパニックになるよりましだ。
「殿下!報告します!8時の方向よりノイズベアが出現!現在、馬車より速い速度で接近中!迎え討つため前方が薄くなります!故に、殿下には念の為前方の警戒を!」
[ノイズベア]魔獣の中では単純に強い部類に入る、デカい熊だ。定石通りの人数と作戦でいけば勝てる相手だが、その人数が足りないと戦うことすら難しい。
さっきピエールが前方が薄くなると言っていたが、実際はいないに等しいだろう。とはいえ、ノイズベアがいるので他の魔獣はまず近づいてこないだろうが。
「わかった。お前も死なないように。」
「では、失礼します!」
ノイズベアはぐんぐんと近づいてくる。すると、他の場所で強い光が見えた。ノイズベアはそっちに気を取られている。そのうちに魔導騎兵隊が周りを取り囲んで行き、「ピーー!」という笛の後に一斉に魔法を放つ。ノイズベアが咆哮するために口を開いたとき、ピエールが何かを口に放り込んだ。
「ドオオォォォォン」
大きな音と共にノイズベアが爆発した。
ノイズベアは倒した。こちらは最初の咆哮で負傷した者が数人出ただけだった。
「私も見てみたかったものですね。ノイズベアの討伐は。」
メイはほとんど気絶していたので、見れていなかったらしい。圧巻だったのに。
「陛下、負傷者の手当てが終わりました。出発できます。」
ピエール君が報告をしてくれた。
「うむ、では行こうか。」
それから4日後、特に問題もなくマッシーナ族の村に到着した。寒い。北の果てに村があるのもそうだが、吹雪が吹いていることが寒さに拍車をかけている。
「寒い地域に来たのは初めてですが、こんなに寒いものなのですか?早く暖炉を囲みたいですね。」
「そうだな、我もここまで寒いのは初めてだ。どうやら天気に嫌われているらしい。」
早くお邪魔させてもらおう。そんなことを考えていると、村長の家に着いた。村の入り口から割と遠い。「ようこそお越しくださいました。吹雪の中寒かったでしょう?ささ、こちらへ。」
執事であろう人に付いていくと、いつもとは違う広い納屋へと案内された。
「おや、これはセオドア様。長旅お疲れ様です。さっそくなのですが、見ていただきたいものがあるのです。」
そう言って村長は納屋の壁にあるなにかを押した。
すると、床が割れ、階段が姿を現した。
「では、こちらに。」
私たちは言われるがままに階段を降りた。
スヴィト村長に案内された階段の先になにがあるのか!
ノイズベアはアパートくらいのサイズの熊を思い浮かべてほしいです。




