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報告会

3ヶ月に1回くらいの頻度で行われる報告会。

それぞれの方針を確認しあい、できる限り助け合うためのものである。

「おはよう、早いね。まだ予定の時間まで1時間あるよ」

「おはようございます。主様こそお早い到着でございますね。」

 報告会までまだ時間があるのにもう席に着いてるのは、財政部長のビル・マネ。本人もそうだが彼の部下も優秀なので、彼自身はそこまで忙しくないようだ。

「仕事は終わったのか?」

 仏頂面で威厳のある見た目をしているが、少し面倒くさがりなところがあり、できる限りのことを部下に押し付けているので、偶に愚痴をこぼしている職員を見かける。

「はい、もう片付きました。」

 今日はちゃんとやったのか…

「そうそう、職場の雰囲気どう?」

「そうですね……特にいつもと変わったことは無いです。強いて言えば、給料の不満ですかね。」

「削れる部分は削ってるんだけど、見直しかな〜。

やるの我じゃないんだけど。」

 物価の高騰に所得が追いつかないのは、経済的にまずいよな。

  ガチャ

「失礼します。…お二人はいつも早いですね。

ヒマ…何でもないです。」

「今、思いっきり毒吐こうとしなかった?王なんだけどさ、一応。」

空耳ですよ と言いながら席に座ったのは、メイ・フジ。産業部長で、よく国営の農場に行っては現場の人と言い争ってるくらいには物事をハッキリと言うので部下からは好かれていないようだ。ビルと私にヒマだのなんだのと言っているが、報告会まではまだ30分もあるので彼女も人のことは言えないだろう…早く来るに越したことはないが。

 その後、法務部のロイヤー・デプラーと自然部のエンバー・オーネストが来た。

「おや?早いですね~。」

「私達が少し遅いのでは?私としてはもう少し早めに来たかったのですが…。」

 「20分前なのに遅いのか?じゃあ残りの2人はどうなるんだ?」

 「遅刻です。」

 ロイヤーは時間に厳しい。ゆえにメイと同じく部下に嫌われている。が、慕われてもいるのでそこがまたいいのだが。

 エンバーは遅いと言われてだんまりしてしまった。

「エンバー、今日は早いじゃないか。いつもギリギリに来るのに。」

「はい〜ロイヤーくんが教えてくれたものですからぁ。」

 そろそろ自力で来てほしいものだが、やるときはやるので多目に見ている。正直不安だが。

 「そういえば。」

 資料を整理していたメイが口を開いた。

「ジャズさんは暴動鎮圧の任務で遅れるそうです。」

「そうか…リズは?」

「さぁ、また遅刻じゃないですか?」

 そろそろ始めたいんだが…

「失礼します!セーフですか?」

「セーフ!」

「よかった〜!」

 ギリギリで駆け込んできたのがリズ・フィンネス。

国民部長で、数年前設置した意見箱の対応で最近はてんてこ舞いである。

「意見箱の対応なら部下に押し付けたらいいのに。」

「ビルさんと違って私は部下を大切にしてるんです。」

 リズはそこら辺面倒見がいいので、職員からの人気が高い。国民からも愛されていると聞く。


 「それでは、ジャズさんは遅刻するそうなので先に報告会を始めてしまいたいと思う。まずは財政部から。」

「はい、近頃は雨が降らないことによる農作物の不作が続いており、野菜や穀物等の値段が跳ね上がっております。」

「うちで運営してる農場は?」

「対策は取っているそうですが、あまり良いとは言えませんね。しかし、新しく炭鉱が見つかりました。働き口として使えれば貧困層が飢えないようにできませんかね。」

「いえ、そもそも働き口は足りていますよ。」

 リズが口を挟む。

「そうですか…」

 食料問題は死に繋がる。優先すべきだな。

「次行くぞ?法務部。」

「はい、我々が注視しているのは夜間の犯罪件数の増加です。窃盗や放火、中には殺人も起こっています。これらの犯罪は厳罰化すべきだと思うのですが。」

「そうだな、しかし冤罪には気をつけてほしい。拷問も、根本の解決にはならないからな。」

「重々承知しております。」

 関係のない人が厳しい罰を受けるのは、良くない。

死刑執行されたあとに「やっぱり違いました」は通用しない。

「次、産業部。」

「はい、わたくしは国営農場についてなのですが。ビルさんも言ってましたが、作物の収穫量が減っています。なので貯水湖を近くに作りたいのですが。」

「ダメです!」

 エンバーが声を荒げた。

「国営農場の周辺は数多くの貴重な原生植物があります。そこを潰してしまえば生態系に影響を及ぼしてしまいます!」

「それで人が死んでしまっては意味がないじゃないですか!」

 メイの言うことも正しい。が、自然をむやみに破壊すればうるさい種族もいる。

「そこについては我がマッシーナ族に協力を頼んでいる…」

「聞いた話では上手く進んでいないようですが。」

 痛いところを突かれてしまった。

 長くなりそうだ。

後編へ続く!


余談 主人公セオドアは割と慎重なので結局何もできなかったりする。なので、各部長にある程度政治を任せている。

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