絶滅の日
剣を抜かぬ者を切った後悔か、それとも同族を殺した後悔からか。こんな体たらくが同族だと? 同族なら一層許しておけぬ。
私は悪くない。神の命に従っているだけだ――。
「お、お、おのれ、デュラハンは……デュラハンは……婚活の真っ最中で、絶滅危惧種Ⅰ類の同種を血眼で探しておったのだ。それを、それを、お色気作戦で倒しよって! 卑怯者め!」
「なんだと」
私が卑怯者だと! どこがどう卑怯者なのだ! 前回ってなんだ! それを知らない人は全然意味不明だぞ! つまり意味が分からないぞ。冷や汗が出る。
デュラハン族が絶滅危惧種Ⅰ類だなんて聞いてない。初めて知ったぞ――!
婚活パーティーが毎日開催できるほどデュラハン族はたくさんいると思い込んでいたぞ――!
さらにはお色気作戦だと? どこがどのようにかと聞きたい。卑怯者と罵られながらもどこがお色気作戦だったかを詳しく聞きたい。後々の参考にしたい。
「シリアス展開なら予も手加減などせぬ。いくら魔法が効かないとはいえ無限の魔力の前でそのスキルは無に等しい」
魔王は両手を天井に上げ詠唱を始めた。
「――禁呪文! 『鉄格子召喚して閉じ込める』」
「うわあ、めちゃくちゃ危ない禁呪文だぞ」
「色々な制限が掛かりそうね」
いつの間にか玉座の間には四天王が駆け付けていた。
鉄格子が急に現れたかと思うと、もうすでに四方が囲まれているではないか――!
避けようないじゃないか――!
「え、だ、出せ! ここから出せ! 卑怯だぞ魔王」
キーン、キーン。一生懸命白金の剣で切り付けるが、切っても切ってもさらに鉄格子が無限に召喚され続けて切り開けない。外に出られない。
「卑怯ではない。これが実力の差ぞよ。さらには『吊り天井が下りてきて両手で支えないとペッチャンコ!』」
くっ! ネーミング!
「「魔王様らしい禁呪文!」」
鉄格子の内側だけコンクリートの天井がどんどん下がってくる! 剣を鞘に収め両手で止めなければペチャンコに潰されてしまう!
「く、くそお。こんなはずじゃなかったのに……」
本当なら今頃……なんだろう。雲の上でユーチュー〇を見ながら……ユーチュー〇を見ていたのに――!
これじゃ檻に閉じ込められた囚人。見せ物ではないか――! 恥ずかしくて死にたい~! いや、騎士は死なない。こんなところで死にたくない
「デュラハンの敵、取らせてもらうぞよ。重さ1.5倍!」
あ、少し重くなった。耐えられなくはないのだが、どんどん重くされればいつかは潰されてしまう。その前に……床が抜けるかもしれない。魔王城の床は意外と脆そうだ。
「た、助けてください……ううう、神様!」
神様ヘルプ! ……冷や汗が出る。古過ぎて。
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