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61 斜め向こうの結果

「第一第四問わず、特に学校に入ったばかりの一年生には、できるだけ冷静に、現実的な視線を持ってもらいたい。それが前総代としての私の願いです」


 そうしている間に、アンジーの背後の二年生達は、今だ! とばかりに口を押さえ取り押さえその場から後ろへと連れていった。

 少なくともあの二年生達は、第一の前総代の家柄に気付いたのだろう。

 高い家柄に弱い彼女達は、さて後輩をどう絞るだろうか。



 ただ、私にとっては斜め向こうの結果が出た。


「実家からの手紙だわ」

「ええー? まさか、またあの時の様に貴女の妹が家の方に?」


 リューミンは顔をしかめた。

 私もざっと目を通したのち、同じ表情になった。


「良い知らせなのか悪い知らせなのか分からないわ」

「何?」

「婚約者を決めたから今年の冬は戻って来い、と父から」

「お父様? お母様の方だったら危険なんじゃないかと思ったけど」


 リューミンの不安は尤もだ。

 以前見せた母からの手紙は私の仲間を憤慨させた。

 ……いや、呆れさせた、というべきか。


「母から直接何か言われるかしらね。今度ばかりは」

「だったら言い返してやればいいのに」

「会話になると思う? 妹を甘やかして育てたのは主にあの母なんだけど」

「……ううううううううん」


 顔の引きつり方が半端ではない。

 それこそもう笑うしかないよね、と言いたげな表情だった。


「婚約者がとんでもない奴だったら、私のとこに逃げてらっしゃいよ!」

「今回ばかりは海のものとも山のものともつかないのよねえ。母はアレだけど、父の考えはよく分からないところが多くって」

「だったらちゃんとお父様と話し合ってらっしゃいよ。うちのお父様とは長い間お話できるのに、ねえ」

「それは他人だからでしょ」


 リューミンは少しむっとして首を傾げた。


「そっか、血のつながった家族の方が気が抜けないんだったよね、テンダーは」

「うん」


 もうその頃には自分がそういう人間だとはっきり感じていた。

 私にとっては血の繋がった人間の方が警戒すべきものだ、と。


「他人は話し合ったり何とか距離があるからいいんだけど、肉親って括りが入ると一般的に密接しても構わない、っていうのがあるじゃない。あれが駄目」

「だから実の父親より、うちの父親、なのよね」

「まあ貴女のお父様は本当に立派な方だし」

「私から見たらただの豪快親父なんだけどね」


 そう言ってからリューミンは机の上の封筒を眺め、ふと問いかけてきた。


「そう言えば、ヒドゥン・ウリーさんとはどうなってるの?」

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