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58 第四との合同祭②

 以下、九位から四位まで、様々なパターンの「女を嫌になる時」が演じられた。


 ちなみにこれは本当に第一と第二の全校生徒からのアンケート調査を集計した結果だ。

 そして基本的にこの寸劇の役は、第一の四年五年の上位貴族令嬢にお願いした。

 ここがヘリテージュの狙いだった。

 「問題の二割」が大概ちょっかいをかけるのは自分より立場の弱い者ばかりだ、ということをも先に聞いていた。

 彼女達の大半は下位貴族だ。

 上位貴族の家では「そこまで酷い」娘はまず外へは出さないのだ、とヘリテージュは社交界情報で耳にしていた。

 入学申請した際に第四しか通らない様だったら、取り消して引き続き家庭教師にみっちり仕込ませる。

 もしくは既に使い物にならない者として、別宅に住まわせ飼い殺しにする。


「だからあそこで侯爵家の令嬢として居る場合は、本当に学力だけが足りないか、地方の教育で差が出ているだけのまともな八割に入っているはずよ」


 「問題の二割」は下位貴族が殆ど。

 「学内では公平」を振りかざして、大人しい侯爵家の令嬢すら下に見ることもあるのだという。

 時には横の第四男子校との境界で必要以上に接近している現場も発見されているとか。

 それでいつつ、結婚相手は上位貴族がいい、と思っていること。

 できれば恋愛結婚したいこと。

 等々々。


「だったら彼女達の目の前で、貴女達のお目当ての殿方達は、どんな女は嫌いなのか、というのを見せつけてやろうかと思ったの」


 うわあ、と私達はにこやかにそう言うヘリテージュを見て「彼女が味方で良かった」としみじみ思ったものだ。 

 全校生徒に今回の出し物を発表した時、一年から三年の間に、今回は誰一人参加させてもらえないのか、と無言の不満の空気が漂った。

 そこへセレがこう言ったのだ。


「今回は第四という非常に難しい相手との合同祭だ。しかも、相手は以前我々の学校に押しかけて迷惑もかけたこともある。だが実際のところ、そういう輩は全体のほんの少しだ、というところだ。我々は良識ある生徒として、彼女達を一つ真っ当な淑女の道に戻してやろうじゃないか」


 それらしく言ったが、要は「あの馬鹿共に思い知らせてやろう」だ。

 無論聡い第一の生徒はその意図を汲んだ。

 特に五年の先輩方はノリノリであられた。


「そういうことでしたら、ぜひ私達参加させていただきたいわ」

「ええ、見本とならなくちゃね」


 ちなみに「公爵令息」役はセレがやっている。


「やっぱりそういう役をやるからには、こちらもやる気の出る相手でないとね」


 皆様「婚約者」ではなく、「嫌われる方の女」をやりたがった。


「あ、この役私やってみたいわ」

「やっぱり横入りするのは定番ですわね!」

「必要以上に身体をくっつけてくるとか!」

「そもそも着崩している時点で!」


 ヘリテージュはそんな先輩方の中でも特に上位令嬢の方々にその役を割り振った。


「最後にはこの役を演じてみて感じたことを思いのままに言っていただければありがたいです」


 思いのままに、というところでまた先輩達は張り切ることとなった。

 それが今回の出し物の正体だった。

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