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39 妹が突撃してきた

 ちなみに送り返された殆どは服と装飾品だそうだ。

 妹を送ってきたフットマンと妹付きのメイドは学校からの手紙を預かってきたのだという。


「余分な荷物は送り返させていただきます。今後これらのものを必要以上に送ることは無い様に」


 ちなみにこの手紙を読んだ時の両親――特に母は怒っていた。


「ええ? 何だって私が心を込めて詰めてあげたドレスやアクセサリが駄目だというの? 昔はそんなことなかったのに」


 一応母も女学校に昔は通っていたそうだ。

 ただ当時は今ほどランク分けされていることもなく、社交界に出るまでの花嫁学校的な意味合いが強かったらしい。

 だが今は違う。

 昔は入ることもできなかった庶民からの入学生も第一には存在する。

 母が若い頃にはまだ大陸横断鉄道も全線開通はしていなかった。

 帝都の女学校に通えるのは帝都近郊の貴族くらいなものだったのだ。

 その時の感覚で母はきっと荷物を詰めたのだろう。

 ……ふと思う。

 両親は果たして第四がどういう学校か分かっているのだろうか?

 この年の合同祭は第四とすることは流れ的に決まっていた。

 なお、第六は交流祭から除外されている。

 ヘリテージュもさすがにその理由は知らない様だった。


 そして第四の片鱗を、私達は合同祭どころか夏期休暇の前に知ることとなった。



 ある休日の朝、私は舎監のフリスラ先生に呼ばれた。

 いつもなら良い天気の日には全開のカーテンが半分閉じている。

 ちらちらとそちらに気を取られつつ。


「面会人が来ているのですが…… どうしたものかと」

「どうしたものか、とは?」

「妹さんが貴女、第四に在学中ですわね」

「はい。妹が来たのですか?」

「妹さんだけならすんなり通したのですが……」


 言いよどみ、ため息をつくフリスラ先生に私は尋ねた。


「妹だけではないのですか?」

「ごらんなさい」


 先生は私を手招くと、カーテンの陰から窓に近付き、隙間から門の辺りを示した。


「えっ」


 門の前には、第四の制服を着た少女達が五~六人集まっていた。


「せ、先生あれは」

「……貴女の妹さんに連れられてきたそうです。第一に縁者が居る訳でもない新入生…… 何しに来たのか、と妹さんに問うても、『見に来た』というだけなんですよ。誰も関係者が居ないなら追い返すのも簡単なんですが……」


 私はがっくりと肩を落とした。


「理由を聞いて帰る様に言わなくてはならない、ということ…… ですね?」

「我が校の生徒は見世物ではありませんからね」


 全くだ。

 私は妹が居るという控え室の扉を開けた。

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